表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/64

魔法での騒動



「うう……ひっぅ……」


 芽依は泣いていた。自分が恐ろしいことをしてしまったと同時に、何故そんなことが起きたのかまったく理解出来ていなかった。

 当時の俺にも理解できなかったが、なんとかして芽依を慰めたい気持ちだけはそれなりにあった。……あったのだが、どうしたらよいのかわからない。


 俺は担任の先生に尋ねた。


「このあと、どうなるんですか?」

「ご両親に連絡は済んでいるけど。……ああ、君たちのことかな」


「たぶんそうです!」

「ふむ、ご両親がここに来る予定なんだが、問題は芽依ちゃんの家庭かな。ここへ来たくないと申し出ているんだ」

「来たくないってどういうこと?」

「ほんと、これだから困ったものだ。来たくないというのは、厳密に言えばちょっと違うな……どっちかというと、母親のほうが校長室に乗り込んで、我が子の存在を否定する発言をされたみたいで」


「えっ……」

「うう、ひっく……」

「だけど安心して。警察を呼ぶ羽目になったが、大智くんのご両親さんが芽依ちゃんの面倒も見るからってなってひとまず事態は収束したから」


「おさまった?」

「うん。そうね、でも……」


 まだ何かあるような言い方だった。

 その不穏な流れは的中する。


「体育での授業、あれは間違いなく魔法だな。魔法を使ったということは魔法使いに目覚めているということで、芽依ちゃんは転校をしなくてはいけなくなった」


「めいが、てんこー?」


「そう。大智くんは魔法を使ってないけど、魔法が発生するのトリガーになったという疑いがあるから、一緒に転校さ。……何故か九蛾家が詳しく事情を聞き入れて、各種手続きに踏み入れているのがちょっと謎なんだけど」


「おれも、てんこー?」


「だからね。芽依ちゃんのことは、君が支えるんだよ」


 それが、当時担任の先生だった者からの最後の言葉だった。

 この後は俺の両親が教室に迎えに来て、担任の先生は以後顔すら見ていない。



 その日の夜から、芽依が俺に家に居候することになった。

 寝るときは別室だったが、俺はあまり深く眠れなかったような気がする。

 

 この悲劇は翌朝まで続く。


 芽依の喉元に赤いあざがあったのだ。すぐに病院でみてもらうことになった。

 そこで医者から言い渡されたのが、自身の力で強く首をしめていたということと、喉の器官に障害が残るかもしれないということだけだった。


 芽依の語尾がでしゅ。になっているのは、この後遺症が原因である。


 頭の中で整頓しているが、いま思い返しても、なかなかに苦い出来事である。


 この後は、中学を卒業するまでは同じだ。高校は違う学校に通って芽依とは連絡もそれほど取り合っていなかったが、俺が魔法工業という分野にとても興味があり、尼野魔法学園の学園長からも推薦されたということもあって、高校卒業後に本校へ入学するという形で芽依との再会を果たした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ