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魔法事故



 保健室のベッドの上で仰向けになると、天井を見つめていた。

 すずねの言葉を聞いたあとから、すっと俺は幼き記憶をを思い返していた。


「芽依のことにも関わっていて……」


 口に出してみても、誰も聞いてなさそうだ。

 少し落ち着きを取り戻そさないとな。


 芽依と俺は、幼馴染みの関係。

 保育園に通い出してから知っていたが、いままでずっと同じ学校に通っていたわけではない。

 それでも、俺と芽依は共にいる時間が長かった。

 学校ではいつも同じクラス。実家も近所だったこともあって、休日でも顔を会わせるのは容易かった。


 そんな関係だった俺と芽依。

 そして、あの魔法事故が原因で……。


「あれはたしか、小学二年生の時だったな」


 俺は保健室の窓を眺めだす。窓の外では、体育の授業をやっている。


 ……芽依の魔法も、はじめは体育の授業の最中だった。

 屋外じゃなくて体育館。

 授業の内容は、ドッジボールだ。

 しかも、授業参観という最中で悲劇は起きてしまった。


 試合は終盤、内野の残りが両チーム三人という場面だった。

 そこで俺が被弾して、俺たちのチームが残り二人になってボールが芽依に渡った。


「もっと強く、投げないと!」


 芽依はそう自分に言い聞かせていた。

 親の目が気になる。それ以上に、大智君の視線が気になって仕方ない。


 そんな感情でも抱いていたのだろう。

 そのくらいなら、誰でもあり得そうな話。


 だけど、あの時は何かが狂っていた。


「だいちくん、いくよ!」


 ――俺に目掛けて全力投球した時だった。芽依の瞳に魔方陣が形成される。

 だが、芽依は自身の違和感に気づかず、俺に向かって投げた。放たれたボールは、明らかに色合いが違った。


 とても赤くて燃え盛るような炎が纏っていた。

 恐怖感はなかった。ただ単純に、太陽のようなボールが俺に向かって飛んできているだけに思えたからである。

 でも、誰よりも違和感を察知していた芽依の父親が背を向けて、俺を庇った。

 


 ――君、魔法とは何だと思うかね?


 その言葉を俺に伝えたのち、芽依の父親は地面に倒れ込んでいた。タキシードは燃えていき、早急に消火しない命が危ういという状況に陥った。


 幸いにも、体育館には消火設備がしっかりと備えられており、命に別状はなかった。

 俺も驚いたが、一番ショックを受けていたのは芽依本人だった。


 当然、体育の授業は中断される。


 事態を耳にした担任の先生が体育館に飛び込んできた。その後、俺と芽依は他のクラスメイトと違って、ひと足先に教室へ戻ることになった。


 そこで、俺は先生に向かって説明をした。


 小学二年生ではとても理解できない事故の一部始終をなんとか口に出して状況を伝えていった記憶がある。


「なるほど、それで全部ね」


 担任の先生は小難しい顔をしながら、窓の外を眺める。



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