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妄想クロニクル2



「お友達のプニュール。この子がいれば自分は王様になれるの!」

 なんの抵抗もなく両手で黒いスライムをすくい上げると、メイアナザーはそこから走り去っていった。


「右に曲がりましたね。追いかけてみましょうか」

「そうだな……」


 いつの間にか出現していた道に驚かない俺は、現在異空間にいることさえ忘れてしまいそうだった。

 あと引っかかったのは、メイアナザーが言い放った言葉。


 プニュールがいれば、王様になれる。


 俺の記憶上では、似たようなことがあった記憶なんてない。これが誰かの妄想で作り出された言葉というなら、俺以外の誰かの記憶が深く関与しているということになる。

 ただ、もし存在していたとしても検討がつかない。

 とにかく、ここは、メイアナザーを追いかけるしかなさそうだ。


「じゃあ行こうか」


 俺は周囲に思わぬ罠が設置されていないか気をつけながら、小部屋から出ていった。



 ――タッ、タッ、タッ。

 足音が非常に響く廊下は、どこまでも続いていくような気がした。

 道幅は大人五人くらいが横並びできるくらいで、狭くもなければ広くもない。床色は先程の小部屋と変わらない青白くて不思議な模様が入っているので、見飽きることはないがいつまでたっても他の部屋などにたどり着けないのだけは勘弁してほしい。


「そういえば、黒い芽依さんは王様になれるとか言ってましたね。もしかしたらここは魔王が潜むお城とかではないでしょうか」

「そんなわけあるはずが……あり得るのか?」

「そうですね――スクロールが生み出している以上、否定は出来ません」


「ふーん。で、どうしたらこの道終わるんだよ」

「隠し扉のようなものがあったら楽できそうなのですが……」


 愚痴っても正解は出てこない。

 それでも、すずねは廊下にある模様を気にしていた。俺が一生懸命歩いている間、時たま顔をを横に向かせていた素振りはしていたのだが、薄々なにかに気づいていた?


 でも、手の打ちようがないともいえそうだ。

 すずねひとりでは、解決まで至らない。


「これは……詰み。なんて状況かしら」


「どうしよっか……」


 俺はポケットから、重箱を取り出した。

 それを右手のひらに乗せて、なんとなく眺めた。


 異空間に踏み入れるなんて想定してなかったので、他の魔道具なんて持ち合わせていなかった。

 雑貨店で何か買っていたとしても、作業スペースや工具がないのでそれもあまり意味がなさそうであった。


 というか、この重箱も鍵が掛かっているただの魔法の箱だろ。


 なにかが起きるはずもなく。


 ――カチッ。



 ふと音が聞こえた。



 これは、どこからだろう。

 周囲を見渡しても、それらしいギミックが解かれた様子はなさそうだった。



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