不思議な小部屋で
「すげーな!」
意識が戻ったら、俺の好奇心は限界値まで振り切っていた。
右も左も不思議な模様が描かれている水色の部屋に立っていた。すずねも後から侵入したので二人揃って興味津々になっていた。
「緊急潜入! ――突如現れた謎の魔界塔の謎を暴く!」
みたいな。
すずねはそんなことを全面的に言い出したくなる顔をしている。
「勢いだけで自慢したくなる気持ち……何となく理解できてしまう……」
「まさにそんなノリで、記事のひとつくらいは書けそうですね」
「そうだな。ところでここは、どんな仕組みになっているんだ?」
「単純に述べるなら、ロールプレイングゲームでたまに見掛けるランダムマップ生成するギミックが用いられている、といったところですね」
「ランダムマップ生成……」
どこかで聞いたような、なさそうな。
「もっと簡単に言うか……。合宿所へ入る度に家具とかが魔法で別のところに配置されるみたいな感じ?」
「それは非常に困るギミックだな……」
「それでも魔法で帰還すること自体は建物の構造上、そんなに難しくないです。ここ、仮想空間なので」
「仮想空間ということは」
「衛生で位置情報を掴んだら、加美浜第二公園と出ます」
「居場所は加美浜第二公園のまま……。俺たちは変なところへ飛ばされていないということか」
「ずばり、そうなりますが」
すずねは人さし指を立てる。さっきの言葉は、俺に少しだけ安心感を与える。
だが、目の当たりにしているランダムマップ生成というギミック自体、厄介なことに変わりない。
その上で人捜しとなると、かなり大変そうだ。
というか、外部から入ってくる度に建物の構造とか変わったら。
あれ? どうなるんだ、これって。
「……たとえランダムマップ生成する魔法に不具合があったとしても、そこまで心配しなくても良いですよ」
若干どん引きするすずねは、もう暫くその場で部屋の観察をしていた。
「仮にこの建造物がお姉さま方が持っていた情報と照らし合わせできるとしたら、これまた厄介なイベントが発生しそうな……」
――と言ってた矢先に、地面の一部分が液状化していた。
俺は身構える。すずねも警戒心を解かない。
しばらくじっとみつめることしか出来ないが、何があるか分からない分、より慎重になるべきだ。
もし綾先生がこの場にいるというのなら、そんなことを発言してそうだ。




