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加美浜第二公園のひみつ



「――女の子はどこにいったんだ!」


 思わず叫んでいた。

 叫んだところで、何もないのだけど。


「大智君がそこまで真剣になっているなんて、なんでですかね?」


 軽やかなステップをしたすずねは、俺と背中合わせにくっついた。


「それは……」

「ただの人助けですか?」

「そうだ。俺はそうしたいんだ」


 何も出来ない無力を痛感して、歯を噛みしめる俺は、これから少しわがままになるかもしれない。

 その覚悟はできているつもり。


 すずねがわざわざ急接近したということは、何かしらの策略でもあるのかと期待していた。

 実際、その考えは間違ってなさそうだけど。


「じゃあ、開いちゃいましょうか。魔界の扉を」


 すずねは詠唱しはじめる。その場で――。


「いま魔界って言わなかった?」

 そう尋ねるも、すずねは質問を無視した。


 空気中には青白い結晶の破片が浮かび上がっている。そして俺たちの足元には、赤い星型の魔方陣が展開されていた。


「烙印の帝を守りし門番よ、我らを魔界に導きたまえ――」


 すずねが右手を大きく挙げた。

 すると、空気中に浮かび上がっている結晶が一点に集中していく。それはすずねの手を伸ばした先に向かって。


 どんどん吸い込まれていく結晶は、どこか見とれてしまいそうで。

 ……というか、こんな公園で強大な魔法を使って良いのか?


 ふと地面に目を向けると、長方形で小さなこの公園全域から魔方陣の光が溢れていた。

 これは、すずねが展開した魔法とは別の魔方陣。

 つまりここ、加美浜第二公園には何かしらの仕掛けが施されていたということになる。


 いったい誰がどんな為に?


 その真相も突き止められるかもしれないが、女の子の無事を祈るばかり。


 もしかしたら、すずねが突き止めたがっていたかもしれないな。

 わざわざ携帯端末で確認してたし。


「そろそろいきますよ!」


 すずねが口で合図する。

 俺が頭の中で思い込みしているうちに、魔法を使う準備が出来たようだ。


「……ただ、今回は魔界と言ってしまいましたが、少々大げさにしてしまいました。正確には別の空間に施設とやらが隠れていたみたいだったので」


 すずねはちょっぴり反省の色をみせていた。

 そんなことはどうでも良いから、早く出してくれ。


 俺は未知数なものに触れるチャンスと期待して胸が膨らむ。


「少し小さめにしましょうか。このまま展開したら、誰でも認知出来てしまいますので」

「そういうものなのか」


「魔法はそういうものです。――それっ」


 すずねが足元に展開していた魔方陣を、少しずらした位置に設置し直す。

 その後、魔方陣がだんだん小さくなっていく。俺はただ、見守るだけだった。やがて、見えていなかった物体が空間に描写されると、すずねが俺の背中を強く押した。


「じゃあ先に行ってください」

「えっ――」


 すずねが魔法で生み出したもの。目の前にある透明度のある扉。

 上を見上げたら、塔のような形になっているのだけ確認できたが、みれたのは一瞬だけだった。

 扉に当たった瞬間、俺の意識が飛んだ。



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