雑貨店が立ち並ぶ通りで
「この辺りの店舗、大智君は覚えておくと良いかも知れませんね」
「……そうだな。なんか魔道具を作る際に、いろいろ使えそうなものがありそうな匂いがするから、すごく長居したくなる」
「魔道工業科の皆さんが心揺すられる場面って、やはりそんなものなんですか?」
「そうだよ!」
実際、そうと言えた。単純に雑貨といっても、魔道具に作り替えできる代物なら話は別。
あれよこれよと改造して魔道具にするのが魔道工業科の趣味みたいなものだから、そういうことを考えれる時が一番楽しくなる。
「でも、一瞬見放した隙に雑貨店の出入り口で売り物にみとれて、買い物客の通行の妨げになっているの、ちょっと気を遣ってください……」
「あっ、ごめん」
すずねに袖を掴まれて理解したが、店から出れないで困ったお客が数人いた。俺は頭を下げながら、その店から十数歩離れていく。
「謝らなくてよいです。好奇心というのは時に迷惑をかけるというだけで、わたしは結構みていて楽しいものですよ?」
「それって何か変なのに期待してないか?」
「ふふふ……気のせいでしょうね」
「――あの、すみません。ちょっとよろしいですか?」
見慣れない女性の声を耳にすると、すずねとの会話が途切れた。そういえば、すずねと二人揃って尼野魔法学園の制服姿のまま出かけていたことをいま理解して、そのことに着いてかと思った。
「俺たちのことですか?」
「……本当は誰でも良かったのですが、あの魔法学園の生徒でしょ?」
「はい。そうです」
「やっぱり。それで、言いにくいけど……ウチが困っているのは魔法の仕業なのかなって」
「魔法の仕業とは。俺は魔法が使えませんが」
――――と言って、すずねに話を逸らす。
「コホン、そうですね……。本校は魔法の練習に限り校外での使用――すなわち、制服を休日の校外で出歩くことを認めていますと校則にもありますが、いったいそれがどうしたのですか?」
「練習だけ……そうね、勘違いかもしれないわね」
女性は大きく両肩を落とす。
「でも、俺たちにできることなら何でも言って下さい」
「大智君の発言、かっこいいですね。あとでご褒美いりますか?」
「すずね、その話は乗らないからなっ!」
「……ありがとう。その……ういっていう女の子見ませんでしたか? 気がついたら私の娘なんですけど何処にもいなくって……身長はお嬢さんのだいたい半分くらい、青いワンピースを着ている子です」
「青いワンピース……えっと、さっきの……」
俺は思い返そうとする。あの泣きそうになっていた女の子の顔を。
「見てないですね。もし見かけたらお声かけをしますけど、名字の確認くらいをしたほうが良いのでしょうね。――さて行きましょうか」
すずねに袖を引っ張られたので、進行方向に歩いて行く。
「佐那川と言います。見かけたらよろしくお願いします」
女性から念には念を押された。
佐那川さん。
頭の中に記憶した俺は、商店街から続く左右の脇道を気にするようになった。それでも、発見は用意ではなさそうだと肝に銘じておく。




