確かめたいモノ
だがしかし、すずねとの距離は取られるばかりだった。
置いてけぼりにされる謎の威圧感。人のゴミに紛れ込んでしまった罪悪感が押し寄せる。
それでも、俺は人の密集を手でわけるようにして進んでいくと、とある地点ですずねが腕を掴んで引っ張ってきた。
「はあっ……はあっ……」
「ほんと境界線は人だかりが凄まじいですからね。わたしでも油断すると身体を持って行かれますよ」
息が切れている俺の前で、すずねは健気なことを言ってきた。
「どうして……こんなに人がいるんだよ……」
「原因はあそこですよ。クレープ店ヴィレットは鈴岡商店街随一の人気店……なので、お昼過ぎまでは基本的に遠回りすることを推奨します」
「とか言って、突撃してたくせして……」
「つい忘れちゃってました。てへっ」
小悪魔ぶったすずねは、どこか憎めない。
出会ってまだ二日目だが、だんだん慣れてきたのもありそうだ。
「で、すずねの目的って何だろうな」
「そうですね……」
すずねは、その場で携帯端末をチェックしはじめる。でも、画面をタップする気配はなくて、ただただ見つめ続けていた。
何かを試しているのか?
画面をみようと俺が近付くと、すずねは画面を見ながら歩き始めた。
「うーん、反応ないですね」
すぐに顔をあげると、困った様子で自身の髪を軽く触った。
「そう容易く見つからないものか……」
「どうでしょうね。条件さえ揃えば発見できるとは思いますが……何時間かかるのか未知数ですし」
「そうなると、すずねも行き詰まったということか」
「なんか今、軽く見くびられたような……。ぴーん!」
お相子同士――。そう思った束の間、すずねは何か閃いた様子で走って行った。クレープ店とは反対方向なので、見失わなければ大丈夫だ。
俺はすぐにすずねのあとを追いかける。
商店街を走っていたが、右も左もお店なので迷子になりにくそうだ。でも、どうしてまた急にすずねが走り出したかは理解できていない。
足を止めることなく、追いかけっこ。
俺、なんか悪い人に見えなくもない……?
ちょっぴりだけ不安になってきた。
だが、すずねが足を止めると、その不安もどっかに行ってしまった。
「……鈴岡中央駅」
俺とすずねは、駅も見えている噴水広間まで足を運んでいた。ここは商店街の中心付近となっていて、外の町からも観光に来たりする、いわゆるこの町の玄関口のような場所となっていた。
そこで再度、携帯端末をつけてみる。
だが、すずねは首を横に振って否定した。目的だったものの反応はなし、という意思表明だけ俺に伝わる。
そして、アテが外れてしまって、ちょっぴりご機嫌斜めなのかなと。
「うーん……」
すずねから、不満の声が漏れていた。




