寝坊の朝
「……おはよう……ございます」
「大智君、おはようでしゅ」
芽依と顔が合う。
その後ろでは、すずねが頭に三角巾を巻いて、手にちり取りを持っていた。
「やっと起きましたか。もう朝の十時頃になりますよ?」
「ふーん……うげっ……」
身体を起こした俺は、時計をすぐさま確認する。何故か俺がふかふかのベッドの上にいるのは、風邪を引かないようにと運んだので間違いなさそうだが、何時間も寝ているだなんてちょっと想定外だった。
しかも、周囲に他の者はいない。
今日は日曜日だから、何処かにお出かけしていてもおかしくはないが……。
「大智君の晩ご飯が朝ごはんになっちゃったのでしゅよ?」
「それは気にしないほうが良いです。夜中に変な唸り声で目が覚めたのですが、大智君が相当うなされていましたし」
「……言っとくけど、何にも覚えてないぞ」
「それはそれであまり良い印象を受けないのですが、過ぎてしまった時間は戻ってこないので割り切っていきましょう」
「そうでしゅね。自分とすずねだけ残ったのも大智君を見守っているだけでしゅたし」
「――ということですが、どっちとお出かけしたいですか?」
すずねは鋭い目つきで尋ねる。
「うん……何のことだ?」
「昨日の話ですよ。鈴岡商店街に行くのですね?」
「ああ、その話か……」
起きたてからそんな話題を持ち込まれるなんて思いもしなかった。とはいえ校外に外出となると、少なからずひと目があるわけだが……。
……汗が地味に気になる。
俺は朝まで熟睡していたことだし、シャワー浴びながら考えたい。
「出かける前に、ちょっと浴びておきたい。バスルームってどこだ?」
「あっちにありますでしゅ」
芽依がとある方向に人さし指を伸ばす。
「バスルームはふたつあるのですが、入って右側を使って下さい。昨夜、聖沙先輩の提案で左側を女子が使って、右側をを大智君専用にしちゃおうということが決定されてしまいましたので」
「了解。てか、そんなことまで決めていたのか……」
「今年の七賢者の卵の中では、大智君だけが男の子ですし妥当でしょう。仮に、大智君がなにかしらの災いで女の子になっちゃったら、それはそれでまた変わるのでしょうけど」
「物騒なこと言うなよ……」
「ふふふ、妄想はいくらしても罪にはなりませんから」
「もう気にしない。お風呂入ってくる……」
身体をほぐしながら歩く俺は、右側のバスルームに入った。
そして、サッとシャワーで汗を流して、すぐに出てきた。
「大智君……早いね。朝ごはんとして温め直しましたので」
「芽依、ありがと」
「えへへ、どういたしましゅて」
「それではいただきます!」
芽依の声を聞いた後、俺はすぐ食卓に手を付けた。




