学内図書館
「ここで長話をしても拉致があきませんので、いったん図書館に入っちゃいませんか?」
「それもそうね。大智君も図書館をご利用したい様子だったし……」
そう言った小春は、自動ドアの左側から続いている、植え込みの間の狭い道を慣れた様子で進みはじめた。
俺は小春のあとについていく。この道は野外なので見晴らしが良いが、とにかく狭さを感じた。
もし倒れ込んだとしても、図書館の壁か生い茂っている草木がクッションになりそうではある。
そして、目先には銀のドアノブが見えていた。
「いまはここから入ってねー」
小春がドアノブを持って開くと、目にもとまらぬ早さで図書館に入っていった。
まるで忍者であるかの如く。
図書館には遠慮なく入らせてもらうが。
「やっぱり、大きいですね」
中に入った俺は、自由に目を泳がせていた。
右に本棚、左に本棚。
中央には螺旋階段があって、とても見晴らしのよい二階建て構造になっていた。
「尼野魔法学園の学内図書館。収容されている一般書物は約五万冊。魔法関連の書籍が約二万冊。これでも国内最大級の魔法関連の書籍が棚に並べられています。土日のみ一般解放をしていますが、貸し出しは在学生のみ可能。但し校外への持ち出しは基本的に認められていません」
すんなりと解説するすずねの言葉は、なにかと信用になりそう。
本の山に目を奪われる俺は、頷くばかりだった。
「ちなみに、さっき言った数字以外には、あんなことやこんなことのイヤらしいものや、魔法のスクロールが記述されている本があったりします。とはいえ、スクロールのは基本的に理解さえしていれば魔法が勃発しちゃう可能性があるので、厳重に保管している区域には気軽に踏み入れないことですねー」
「解説どうも。……で、その区域というところに行けってことか?」
「いえいえ。基本はお姉さまの許可がいるので、うっかり入っちゃったその時は」
ふふふ。……という幻聴が聞こえてくる。
あくまでも注意喚起として、教えてくれただけかもしれない。
「それですずね、なんだっけ?」
「お姉さま、事件に関する続きです。あっちのほうで――」
すずねが小春の背中を押して、俺から遠ざかっていった。
すると、すぐに静まり返る館内。
さて、俺は探しものを求めてここに来たんだ。とにかく広そうなので、片っ端から総当たりしても良いが、まずは魔法に関係するコーナーから目を通していこうと決めた。




