学園の理事長~シャッターチャンス!!
「痛っ、痛いぞ……」
「だから言ったじゃないですか。大智君が意図的に体当たりしたというのなら、辛うじて許される範囲ですけど、その反応をみた限りでは」
「はっ、撮影はやめろよ!」
――パシャ。パシパシ。パシャリ。
俺はフラッシュライトを容赦なく浴びせられていた。
「新入生のドジっ子した瞬間、しっかりと写真に納めないとね~」
淡い桃髪の女性が、カメラを構えて激写していた。
「わわわああああああ!」
カメラの手を当てて隠そうとする俺は、慌てふためく。でも、何故かカメラのレンズを捉えることは出来なかった。
四方八方から俊敏に動いて撮影する様は、プロと言うべきなのか。
――ともかく、撮られるのが恥ずかしかった。
この状況は、桃髪の女性が満足いくまで続いた。
「ふい……お腹いっぱいね」
まるで撮影が食べ物のようにたとえて、満足したのを目の当たりにする俺は、恥ずかしさを通り越して意気消沈していた。
「ありゃ、すずねちゃんも一緒?」
「……やはり、お姉さまではありませんか。大智君の面白そうな一面をお姉さまより先に撮ることが出来なくて心の奥底では悔しいですが、探す必要性がなくなったので良しとしましょう」
「あの……俺の立場……」
どこにもないような気がしてきて、とても恐縮しそうだった。
「あら、そんなことないわよ。たぶん」
「お姉さま、それよりも大事な伝達事項があります」
「この時期に伝達事項なんて……そうなの?」
すずねに向かって首を呑気に傾げる女性。
すずねのお姉さまということは、この人が学園長の理事長であり、図書館長でもある。
少なくともこの方に聞けば、俺が求めてる本を出してくれるかもしれない。
「今回のは学園外で起きてるので情報の照らし合わせからですね。先日の老人ホームでの放火事件当時、加美浜第二公園付近で何やら変な電波を発信していることが先ほと発覚しました」
「それは大変ねー。早く、この図書館の自動ドアも直してもらえないかしら?」
困った様子の尼野お姉さま。
……思ったことを口に出しているだけか。
すずねが若干顔を引きつっているのがよくわかる。
「お姉さま、人の話を聞いてくださいね」
「うーん……自動ドア……」
「駄目だろ、聞いてなさそうだ」
「それは追々、お父様の財布から出るでしょう。……話の続きをしますよ?」
「あのさ、この人がすずねの姉と言ったよな。名前なんて言うんだ?」
「お姉さまの名前ですか?」
「そうね、私の名前は尼野小春よ。九蛾大智君、よろしくね!」
にっこり。すずねと違ってちょっと天然が混じっていそう。ともあれ、太陽のように輝く笑顔を前にした俺は、顔がどことなく和みそうだった。
激痛に耐えて。
激痛というよりかは、たんこぶのようなものに近いが……。




