お昼ご飯は焼き肉どんぶり
……思ったより早いな。
でも、食事が始まるギリギリまで寝かしてもらう。
「おっ、たっだいまー」
「待たせたな。ついでに拙者の面談も終わらせておいた」
綾先生と鷹子先輩の声が聞こえた。
どうやら、肉料理を抱えて帰ってきたようだ。
「姉さま、とりあえず置く場所用意しますね」
鷹子が帰ってきたことによって、聖沙のテンションが地味に上がる。その後、机を動かす音も聞こえ始めるが、びくりともしない俺は床で寝転がっていた。
「あれ、起こさなくて良いのかな?」
「綾先生、大智君のことですね。当人がお身体を休まれたいと申し出ていたので、そのままで良いんじゃないですか?」
「そうね、それならいっか」
「……本当は、心の奥底から焼き肉どんぶり二人分の召し上がりたいんでしょうね。ああ、食費は我が財布イズマネーから出ているというのに、と心の奥底から訴えかけてますね?」
「否定はしないけど、流石に二人分は喰わないって……」
困った綾先生の顔が容易く想像できそうな、やり取りがなされた。
でも、あまりにも起き上がるのが遅いと、本当に食べられてしまいそうだから、休ませるのもほどほどにしとかないとな。
しばらくしたら、身体を起こして背筋を伸ばした。
それから――。
お昼の予鈴が鳴ったのを合図に、焼き肉どんぶりを平らげはじめる。
やはり初日ということもあってか、あまり会話が弾まずに時間が流れていった。
「ちょっと出かけてきます」
「うんにゃ、大智君ひとりでお出かけかい?」
「そうですね。日が暮れる前にはここに戻ってくる予定ですけど」
「じゃあ、ドアはちゃんと閉めておいてね」
まだまだ絶賛食事中の綾先生は、次の個人面談を誰にするか決め悩んでいる様子だった。その次の予定はまだ決まっていない。ひとあし先に個人面談が終わっていた俺は、今から真っ先に向かいたい場所があった。
それは、学園の敷地内にある図書館である。
ダメもとでも構わないので、課題に関する手掛かりがほしいところだった。
入学初日とはいえども、自由時間はできるだけ有効に使っていきたい。
「それじゃあ、行ってきます」
俺はひと声掛けて合宿所を後にする。
鷹子は昼寝に入り、他の魔法科の生徒達は綾先生の個人面談が待っているから、俺の背後に誰かがついてくる心配はそれほどなかった。
ふと天を見上げる。
空は依然青いままなのだが、午前中より雲が浮かんでいた。
そんなところに、ひょっこりと。
「大智君はどこにいくのです?」
何故か先回りしていたすずねが声を掛けてきた。




