九蛾大智、先生に出会う
おはようございます。第二話となります。
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そのまま三十分ほと経過すると、校内にチャイムが鳴り響いて、体育館から生徒がぞろぞろと出てきた。
俺はすずねの目を盗んで、生徒の流れに紛れ込もうとした。
「ちょっと待たんかい!」
威厳のある女性の声が聞こえた。
「……なんだよ」
制服の襟首をがっつりと掴まれていて、振り向くことしかできなかった。さっきの声の主がいる方へ顔を向けようとする俺はため息が出そうだった。
面倒な用事なら早く片付けたい。そう思っていたのだが、振り向いた先にいたのは、年齢が三十にギリギリならないくらいの、女性教師だった。
短いショートボブのような藍色の髪に、スーツ姿。いかにも、尼野魔法学園の先生っぽい雰囲気をしていた。そして、その女性教師は俺に逃げる隙を与えてくれなさそうだった。
後ろにいるすずねは『好き勝手どうぞやっちゃってください』みたいな不気味な微笑みを顔に出している辺り、この女性教師は熟練のある類の存在だと感じ取った。
「入学おめでとう。早速だけど、君の名前を教えてもらえるかしら」
「九蛾大智です。魔道工業科一年でこの春から本校でお世話になります」
「ふむっ、九蛾君ね。それでさっそく悪いんだけど、この手は離せないんだ」
「――入学式そうそうに凪原綾先生がスパルタ教育指導を開始、っと。面白い記事の提供ご苦労さまでした」
「ちょっと記事にするの止めてくれない? というか、まだ名乗ってすらいないのに私の名前なんで知ってるの?」
「魔法科一年、尼野すずねです。この度は学園長のお父様と、理事長兼図書館長を努めてらっしゃるお姉さまがお世話になっております」
女性教師に向かってお辞儀したすずねは、笑顔に満ちていた。
「あー。尼野さんの……」
女性教師の口元が一瞬、止まったような気がした。
「ま、ま、まさかと思うけど、すずねも遅刻組なの……?」
「そうでございます」
「やっぱりそうか……。今年度の『七賢者の卵』は、より面倒になりそう……」
「先生、七賢者の卵というのはなんのことですか?」
「大智君。あれを知らないで入学式に遅刻してくるのも流石だけど、一応ちゃんとした説明をしておくわね」
「はい、よろしくお願いします」
「じゃあ遠慮なく言わせてもらうわ。ここ尼野魔法学園には、入学式及び一学期の始業式に毎年七人の遅刻者が必ず現れるのよ。その七人のことを『七賢者の卵』と呼んでいて、この七人は一年間特別講師が付き、課題と補習がつきまとう特典が入ります」
「つまり遅刻した時点で課題と補習の一年になるということか……俺の学校生活、終わったな」
愕然と肩を落とした俺は、なにも言うことはない。
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