魔法演説が終わって
理不尽極まりない後味が残る、魔法演説が終わった。
何事もなかったかのように魔法科の皆が起き上がると、俺は体育館を後にした。向かう先は、もちろんプレハブがあった場所だ。
呼び方は、合宿所のほうがしっくり来そうではある。
――それにしても、重士朗コレクションか。
あれほど悍ましいことが起きる魔道具が世の中に知れ渡ったてしまったら、その時は本当にクーデターとか発生しそうで、それは恐ろしいことになるな。
俺は歩きながら見上げる。
雲一つない大空が広がっている。
とても穏やかで、すがすがしい空気が満ちあふれている。
「……大智君、考え込んでも仕方ないですよ?」
すずねは人さし指を立て、俺の頬につつくチャンスを伺っていた。
「そうだな……って、その構えは何だ」
「はて、何のことでしょうか?」
惚けるすずねは、しばらく俺の顔色を見つめているつもりなんだろう。
ひとまず、綾先生と鷹子が帰ってくるまでは退屈になってしまいそうだ。遅刻してきた身としてはアレな気がするが、俺は合宿所で大人しくひと眠りでもしよう。
焼き肉を奢る、というけど……恐らくはテイクアウトして人数分お持ち帰りが丸くなる。 それくらは誰がどう見ても想定できるので、本日の昼食に悩む必要はなさそうだ。
「そういえば、鷹子先輩に対しての魔法演説はやらなくてもよかったんでしゅか?」
「先輩だったら魔法を見る機会は俺よりあるだろ、多分だけど。芽依が近くで魔法を使う機会があれば、みせてやれば良いだけでは」
「あっ、それもそうでしゅね」
パチッ。と両手を叩いてにんまりする芽依が駆け足になった。前方を歩いている聖沙と莉桜に近付いくと、会話の中に混ざっていった。
そこに、混ざっていく兎羽とすずね。
仲良く会話できる関係になっているのは、みているだけで心が癒される。
「俺も、混ざりたかったところだが……」
残念なことに、今年の七賢者の卵の中で男は俺ひとり。
そろそろ新入生が下校していく時間にもなってきそうだし、会話に混ざろうとした矢先に他者からみたら不審がられること間違いなかった。
ということで、俺は皆とはワンテンポ遅れて歩いて行くことにした。




