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風の魔法と



「エアーロ・ランス!」


 一瞬だけ突風が吹き、風の槍が飛んでいく。


 それはシャボン玉に目掛けて一直線。

 そのまま突き抜けると、シャボン玉が綺麗に割れた。


「うおっ……」

 俺は思わず声が出ていた。


「ふう……お粗末でした」


兎羽(とわ)ちゃん、凄いでしゅ!」


 芽依はちょっぴり興奮していた。


「いえ、あたしはそれほどでもないからっ」


 兎羽の顔は、ほんの少しだけ緩んでいる。

 まだまだ未熟と当人は思っていそうだけど、魔法が使えない俺からすると異次元の領域なので素直に褒め称えたい。

 あと、どれもこれも見応えがある魔法だった。


 この集まり――七賢者の卵って、本当に大物になり得る存在ばかりなのかもしれない。


「どれもこれも素晴らしいものですね。綾先生と鷹子先輩がまだ帰ってくる気配がありませんが、そろそろ魔法演説もお開きにしましょうか」

 遠くから見物していたすずねは、体育館の出入り口に立っていた。


「そうだな……ってか、すずねって何の魔法が得意なんだ?」

「お開きにいたしましょうかね!」


「あの……聞いてる……?」


 俺はすずねに、魔法に対する期待する視線を送っていた。

 じっくりじゃなくても良いからひと目みておきたい。何か事情があって駄目だったら仕方ないけど、課題にも役立てたいところだし……。


「チッ――」

 すずねは舌打ちした。

 なにかに対して怒っているのか、ただ気分が良くなくなったのかはわからない。


「別にわたしが魔法を使わなくても良いくらいには、大智君が満足したのではなかったのですか?」

「それも、そうだけど……」


 口が思ったより動かない。

 すずねからにじみ出る、これ以上にない謎の威圧感があった。

 それでも、俺は自らの好奇心が勝ってしまう。


「たのむ……。お願い、だ……」



「ほうほう、仕方ありませんね。それでは、とっておきのを披露しましょうか」



 すずねは縦に一回頷くと、体育館の中心地に向かって歩いていった。


「すずねちゃん、どんな魔法を使うんだろうね」

「さっきの威圧感を伝える精神魔法といい、流石は学園長の愛娘だけあるね。どんな魔法が得意なのかは僕もわからない」


「あれ、さっきのって魔法だったのですか?」

「そうだけど……」


「そうだったんだ」


 俺と同じく芽依も気づいてなかった先程の威圧感は、魔法だったらしい。補助技程度に過ぎないレベルだけど、それでもかなり質の良い魔法であることに変わりないのは確か。


「すぅーはぁー」


 深呼吸。魔法を使う準備を始めるすずねは、とても静けさがあった。



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