魔法演説
「す、すごい……」
俺を含めた新入生組は、雷の魔法に感動を覚えた。
「ふん。アタシの実力なら、気軽に使ってもこんなものよ?」
「そうね、これくらいで満足されたら困るものよ」
続いて莉桜が魔法を使う準備をしていた。
一体どんな魔法が飛び出すんだろう。非常に気になってくる。
「莉桜が得意とするのは地属性と水属性。相対的に比べたらさっきより地味になっちゃうかもだけど、できるだけ派手な魔法を使いたい欲求はある」
両腕を天に向け、魔方陣をつくり出す莉桜の姿――。
既に身体の一部分が水と化していた。
「これは……」
「ほんと芸術の嵐でしゅ……」
「ですね。あたしもちゃんと見て、お勉強の糧にするつもりでいないと!」
言葉にならないくらいの感動がまたやって来そうだった。
「奏楽の巫女に従える泉の妖精よ、夢幻となりて水流の幻想を生み出したまえ」
莉桜が唱えると、体育館の壁からシャボン玉が出てきた。それは一つや二つではなく、一定間隔で幾らでも出てきた。
「これはこれで……良いような……」
「大智君、さっきより地味だけどごめんね。アクアリムース!」
莉桜が両手を合わせる。
パチッ――。
合図と同時に、シャボン玉が弾けだした。
「おみごとです!」
兎羽は拍手を送った。
それに続いて、俺も莉桜に向かって拍手する。
「僕を褒めるほどでもないと思うけど……」
「素晴らしいものは、素晴らしいですから!」
兎羽はハイテンションで称賛していた。拍手が鳴り止んでも、兎羽のキラキラする目の輝きは止まらない。
「……で、次は誰がするの」
莉桜は魔法科の一年生に目を向ける。
「自分はさっきやったから……」
「芽依は別にやらなくて良いから。いつでもみれるし」
「うう……大智君、それってどういう意味でしゅ……」
「そのまんまの意味では?」
落ち着きを取り戻したなった兎羽が、口出しする。手のひらには、緑色の小さな魔方陣を展開していた。
「次、あたしがやるかっ」
気合いが入ったようで、全身から真剣さが伝わってくる。
「兎羽の魔法は何が得意なんだ?」
「あたしは風。まぁ、魔法科の先輩達に比べたら大したこと出来ないけど」
両目を閉じた兎羽。
意識を手のひらに集中していた。
「兎羽ちゃんは風かぁー。召喚魔法が得意な自分は何属性になるのかな?」
「それは僕の口から言わせてもらうけど、芽依ちゃんの場合は光属性。魔法の属性は全部で十種類あるでしょ。炎、水、風、雷、木、土、氷、月、光、闇。その中で精霊と信仰を交わすことのできる属性は光と闇のみ」
「なるほど……。自分の召喚魔法使うときの魔方陣は白だから、属性だと光になっちゃうのですね。とても勉強になります」
納得した芽依は、兎羽の方を気にしだす。
そう、そよ風が吹いてきたのだ。体育館という建物の中なのに、大きく髪が揺れていた。
「竜宮の息吹よ。我に導きの力となりて貫きたまえ――」
目を開いた兎羽は、ひとつだけ残っていたシャボン玉に目掛けて解き放った。




