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重士朗コレクション



「その手……もしかして、さっき綾先生から貰ったモノをみたいのか?」


「そうですね。大智君のポケットから微小の魔力を検知できるので、何なのか気になったさまです」

「うん、これだろ?」


 俺はポケットから、小さな重箱を取り出した。


「ぴーん。これはアレですね」

「その反応……すずねは何か知ってるのか……?」


「ずばり、重士朗コレクションですね!」


 すずねの目線は、重箱の茎付けになっていた。


「重士朗コレクション……。どれだけ凄いものか詳しく聞かせてもらいたいわ」


「おや、綾先生もご存じなかったのですか? これは重士朗(じゅうしろう)コレクションといって、世界に十四あると噂される不思議魔道具のひとつなのです!」

「重士朗……重士朗……重士朗って誰のことだっけ?」

「尼野重士朗、わたしの叔父に当たる人物です」


「ふーん、えっ」

 綾先生が全身から硬直する。


「そ、そ、そんな凄いものが、学園長から渡されたなんて気のせいにしておきたいわね」

「綾先生、無理しなくて良いですよ……」

「大智君……それくらい、先生も分かってるって……」

「まぁまぁ、どうしてお父様が持っていたのか事情はわかりませんが、重士朗コレクションは兵器としても、魔道具としても、至って不完全なモノなのですよ?」


「そんなものを開けて、何になるって言うんだろ」


「あー。それが大智君の個別課題になるんですね、ということは」

 何かを察したすずねの瞳から、ものすごーい黒い波動が溢れかえっている。


「ちょっと、待て……」


「大智君――それでも、噂があるんです。七賢者の卵になって本校を卒業した者は皆、偉業を成している」


「まさかと思うが、卒業後に本気でクーデターとか起こす気なのか……」

「ふふふ……きちんと勝算を立てた上であれば、それもありですね。今後の大智君の活躍に期待しています」


 すずねに期待を寄せられても困るだけで……。

 返答に困り、誰かに助けを呼ぼうとしたが、一番距離を取られている聖沙からの嫉妬の目が怖く感じて何も口出しできなかった。


「……あたしの個別課題って何だろう」


「兎羽殿が気にするほど難しくもなければ簡単でもないレベルだと思えば良い。新入生の課題なんて、拙者もよくわからぬが……。綾先生、そろそろ拙者と面談をやらないか?」


「そ、そうねぇ。日が暮れる前に全員終わらせたいわね」

「その前に綾先生、ひとつお願いがあるんだが」

「うん? 無理な質問以外なら受け付けれるかもしれないけど」


「今から焼き肉を奢ってくれ!」


 覇気のある鷹子の声が、体育館に響き渡った。



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