九蛾大智、面談する
「最初の面談者以外は、先に入って魔法演説始めちゃってて」
「はーい!」
芽依は元気よく返事する。
「ここは致し方ないですね、どうぞいちゃいちゃを楽しんでください。ふふふっ」
「す、すずねちゃん……」
「はて、何のことでしょうか?」
「ご、誤魔化さないで……」
すずねが芽依の背中を押していった。
「あたしも心配になってきた。……別の意味で」
「縁崎さん、気のせいにするのが一番です」
「あたしのことは兎羽って読んでほしいかな。あまり堅苦しいのは嫌だし」
「……わかったわ。考えておく」
兎羽と莉桜は、肩を並べて体育館に入っていく。
「姉さま、アタシのソワソワが止まりませんが――行きましょう!」
「ふむ。拙者もわくわくするぞ!」
仲良くお喋りして歩く峯本姉妹の姿。
「それじゃあ、面談を始めようか」
「よろしくお願いします」
続々と体育館に入っていくのを見届けた俺と綾先生は、個人面談へと移る。といっても、場所は体育館の外壁部分なので、あまり遠くに離れるわけではなかった。
「ところで、個人面談って何をするんだ?」
「ちょっとさかのぼるかもだけど、七賢者の卵は補習と課題があると言ってたわね。その課題っていうのが、各個人で違うのよ」
「それの説明ってことか……」
「ずばり、そうなるわ」
綾先生は真剣な顔つきになる。
七賢者の卵は、補習と課題が付いてくる。補習が授業での理解力を深めるものとするならば、課題は各個人の才能を引き出す足掛かりにするための手段。
ざっくりだが、そう捉えることができる。
それだけ、将来性に期待して良いことなのか?
本稿の入学式に遅刻しただけなのに。
「九蛾大智君、君の課題はこれだ」
綾先生がみせてきたのは、両手で持てるくらいの小さな四角い重箱だった。
箱の側面には、目のような模様が描かれている。
「これは?」
「コホン。君の課題は、この魔法の箱を開けることだ」
――一見簡単そうに思える課題が出てきた。
ただ、これはどうみても厳重な魔法の鍵が掛けられてて、物理的に開かないようになっていそうだ。
「綾先生は開け方を知っていますか?」
「そんなの知らない。というか、こういう魔道具をみたこと今までないかも。個別課題は学園長が出しているから、詳しいことはそっちのほうが知っていそうだけど」
「なるほど――」
これ以上の種仕掛けは、大人の事情が絡んできそう。




