男「小説で一発当てるわ」友「馬鹿か」
男「俺、今日からなろう作家になろうと思う」
友「頭大丈夫か」
男「いつも通りだ。それで、なろう系って何なのか調べてみた」
友「いや話の展開が早いわ。なろう作家って何よ」
男「正直よく分からん。小説家になろうっていう小説投稿サイトに小説を投稿している人々らしい」
友「お前そんなの興味あったん? 確かに現国の成績だけは良かったけど」
男「いや働きたくないし動画編集スキルとかもないから小説で一発当てて隠居しようかなって思って」
友「お前最低だな。そこで小説に行き着くのもイマイチ分かんねぇけど」
男「いつも通りだ。んで、俺みたいなトーシロが元手なしに小説を当てるにはどうすればいいか考えて、小説家になろうってサイトがヒットしたわけ」
友「よく分からんけど。そういうのって持ち込みとかで担当についてもらって云々とかじゃないの?」
男「いや発送とか手間じゃん。金かかるし」
友「お前最低だわ」
男「いつも通りだ。っても、このサイトってよく読まれるタイプの小説があって、今そういうのが書籍化とか漫画化とかしてるんだよ」
友「へえ。お前そういうの好きなん?」
男「いや全然興味ない。でも金のためだから」
友「俺お前のそういうとこ憧れるわ」
男「褒めんな。で、それがいわゆるテンプレってやつで、いくつかの要素で構成されてるってのが分かった」
友「勉強熱心だな」
男「金のためだからな。典型的なストーリーは、いわゆる社会的負け組が異世界に行って無双するって感じの話だ」
友「面白いの?」
男「読んだことないから分からん。まあイケるだろ。俺天才だから」
友「お前のその自信マジで尊敬するわ」
男「褒めんな。んで、出来上がったものがこれだ」
おにぎり転生〜俺は異世界でおにぎりを使い最強になる〜
あらすじ:学校でいじめに遭い引きこもりになった主人公、サトル。深夜にコンビニで夜食を買い帰宅する途中で信号無視のトラックに撥ねられる。最後に見たのはぐちゃぐちゃになったおにぎりだった。次に目を覚ますとサトルは見知らぬ街にいた。魔法で発達した文明、様々な種族が入り混じる不思議な世界。突然暴漢に襲われ、必死で逃げようとすると暴漢はおにぎりに変わっていた。『全てをおにぎりに変える能力』。適度に塩の効いた梅おむすびを齧りながら、サトルはこの世界で生きることを決意する。
友「いやふざけてんのか」
男「面白いだろ」
友「頭おかしくなるかと思ったわ。ていうかサトル俺の名前だし。いじめられてねぇし」
男「いやでもお前おにぎり好きじゃん」
友「そこかよ。普通だわ」
男「じゃあダメだな」
友「そこじゃねぇよ。ダメなのはダメだけど。そもそも何このゴミクズストーリー。主人公すぐ死ぬしおにぎりなったやつ食うし、決意まで早すぎんだろ。躊躇うとか帰ろうとかしろよ」
男「いやそこは良いじゃん」
友「何を持って良いとしたのか分かんねぇわ」
男「冷静に考えろよ。素人の書く文なんてよっぽどの物好きしか読んでくれねぇんだぞ。インパクトとスピード感で誤魔化してギャグ路線でも突っ切っていくしかないだろ」
友「おお……お前意外と考えてんのな。いやそうじゃねぇわ。少なくとも魔法とか使える世界でおにぎりはないだろ」
男「良いじゃん美味いし。最終的にサトルは弁当屋開いて大成功する」
友「それ元は人間とかだろ。しかも最終目標しょぼいし」
男「食物連鎖よ。それにお前んち弁当屋だろ。親父さんのゴールを馬鹿にすんな」
友「馬鹿にしてんのはお前だ。ていうか俺に寄せてんじゃねぇ」
男「モデルがあった方がリアリティ出るだろ。お前は幼馴染で親友だし」
友「お前俺のこと親友って思ってたのか。てっきり奴隷かなんかだと思われてると思ってたわ」
男「いや男の主人にはなりたくねぇわ。必要があれば使うけど」
友「お前やっぱクズだな」
男「いつも通りだ。腹減ったし、お前んちの大して美味くない弁当でも食いに行こうぜ」
友「普通に美味いわ。せいぜい売上に貢献しろ」
息抜き