第八話 アーノルド家期待の星
ラールside
ラール・アーノルド。
ラール家に養子として迎え入れられた子供で、レインと同じ十五歳である。
容姿端麗、頭脳明晰、魔法の天才と呼ばれている神童だ。
だが性格は最悪で何かにつけてレインを散々罵倒したり虐めてきた。
儀式の時もレインの外れスキル【経験値0】を目の当たりにして嘲笑し軽蔑し見下した。
自分が常に一番だと思っているナルシストだ。
「ラールお前を養子に迎え入れて本当に良かった。お前だけが頼りだぞ」
「そうよアーノルド家の未来は貴方に掛かっているわ」
ラールに媚び諂うようにそう言う父バレッド・アーノルドと母エーラ・アーノルド。
「任せてよ父さん、母さん。あんな無能とは違い、僕がこのアーノルド家に幸福な未来を齎すよ」
「おおなんて頼もしいんだ。あんな無能とは大違いだな。流石我が息子だ」
「ところで外れスキル【経験値0】を授かった兄さんは今頃何をしているのかな?」
ラールはニヤニヤと下卑た笑みを浮かべてそう呟いた。
「あんな無能はどうでもいい。何処かで野垂れ死んでいるに決まっている」
「そうよ。あんな子の事考えては駄目よ。脳が穢されるわ」
「分かってるよ父さん、母さん」
父と母が満足そうな表情で部屋を出ていく。
ラールはその後窓の景色を見て呟く。
「あーあいじめ甲斐があったんだけどな。次の玩具を探さないとな」
ラールが授かったスキルは激レア中の激レア【魔剣聖】だった。
このスキルは魔法と剣の上達スピードが通常の数十倍で成長する。
その為魔力や攻撃力のステータス値も通常の数十倍ずつ上昇していく。
謂わば最強だった。
「もし兄さんが生きていたらもう一度虐めてやろう」
ラールは下卑た笑みで楽しそうに言葉を口にする。
だがラールは知らなかった。
自分が馬鹿にしていたレインの外れスキル【経験値0】こそが真のチートスキルだという事を。