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第六十七話 エイレンとの再会

 アルフォード国へ行く前に俺達はクルザへと別れの挨拶を交わす。


 「じゃあまた果実見つけて絶対戻って来るから、それまで待っててくれ」

 「本当に済まない。心から感謝する」

 「いいって。気にするな」

 「ありがとう。私も出来る限りの事はやってみる」

 「ああ。じゃあまたな」


 俺達は一時の別れを告げて、次なる目的地アルフォード国を目指す。

 若しかしたらラールとまた再会することになるかもしれないな。

 ユリア・ディーテッドか。挨拶を交わしただけだが底知れぬ何かを感じた。

 油断せず行こう。

そして現在――。


 「バイクに乗らないのか?」

 「嫌だ。お前の運転は荒すぎる」

 「そうですよ。死にかけたんですから」

 「全くだ」


 運転しているラファとおんぶに抱っこの俺達とでは感想は違う。

 まあ移動手段としては早いんだが。

 

 「バイクに乗りたいのだーーーー」

 「嫌だ。ていうかバイクより速くアルフォード国へ行く方法がある」

 「それは何だ?」

 「俺の俊敏のステータス値はお忘れで?」

 「ああそうだった。てっきり忘れておった」

 「ま、まあ俺もだが」


 うん移動手段はバイクなんかより俺の足の方が遥かに速い。

 今まで色々な国を冒険してきたが何故気づかなかったんだろうか。


 「体力は大丈夫なのか?」

 「そう、それだよ。その項目がステータスにないんだ」

 「それはステータスに追加されてないんだな。追加されてない物は私には見えない」

 「じゃあ移動できない可能性も」

 「そうだな」


 まあ試してみるか。

 そんな時だった。


 「レイン!!」


 遠くから大きな叫び声が聞こえた。

 そして凄く聞き覚えがある声だった。


 「お前エイレン!?」

 「見つけたぞレイン。お前俺に恥をかかせやがって」

 「恥!? 何のことだ!?」

 「とぼけるな。お前のせいで俺達【グランアード】の評判は最悪だ。地に落ちた」

 

 何を言ってるんだこいつは?

 俺と【グランアード】は女神から固有スキルを授かったあの日から無関係だ。

 何せパーティーから追放されたのだから。


 「お前本当に活躍してるのか?」

 「いやまだまだだけど」

 「地下ダンジョン攻略や巨竜討伐は本当か?」

 「ああそれは本当だ」

 

 俺の言葉に驚きを隠せないルート以外の【グランアード】のメンバー。

 そしてエイレンは大きな歯軋りをして剣をこちらに向ける。


 「レイン俺と勝負しろ」

 「は!? 何で?」

 「お前は無能なレインだと証明する為だ」

 「悪いが時間が無いんだ。お前に構っている暇はない」

 「お前逃げるのか? そうかやっぱりあれは只の噂でお前は嘘つきか」


 エイレンは下卑た笑みで俺を見てくる。

 そんなエイレンの態度に腹を立てたアイリスが口を出す。


 「貴方が誰だか存じ上げませんが追放した貴方方は見る目が無かっただけです」

 「何だとこの女!」

 「貴方なんかよりレインの方が本当の意味で強いです」

 「どういう事だ女!?」

 「さあ行きましょうレイン」


 アイリスが俺の手を引っ張って行こうとする。

 ラファとニーナはエイレン達【グランアード】を徹底的に無視していた。

 関わるだけ無駄だと判断したのだろう。

 ネフィーは可愛い顔でベーッとエイレンにしていた。


 「おい逃げるのか!」

 「悪いが本当に時間が無いんだ。お前に構っている時間はない」

 「何処へ行く気だ!?」

 「アルフォード国だ」

 「何!? お前今ハンターランク幾つだ?」

 「3000だが」

 「な!?」


 俺の言葉に再び驚き固まるエイレン。

 そして同時にディンガとカルラがあり得ないと言う顔をしていた。


 「はああああああああああああああああっ!」


 エイレンがいきなり剣で襲い掛かってくる。

 俺はそれを簡単に回避して見せた。


 「くっ!」

 「エイレン。もう俺とお前は関係ない。じゃあな」

 「黙れ! お前のせいで俺がどんな目にあってるか知ってるか!?」

 「知らない。だが俺はもう【グランアード】のメンバーじゃない。【アルス・マグナ】のリーダーなんだ」

 「ふざけるなああああああああああああああああああああっ!」


 エイレンが物凄い速いスピードで赤い剣を俺に向かって振り翳す。

 確かに速い。そしてエイレンの固有スキル【神速の剣聖】は激レアなのだろう。

 だが今の俺はもう神速を超えている。俊敏は∞だ。


 「スキル雷閃発動。スキル煉獄発動」

 「何だそのスキルは!?」

 「終わりだ」

 「黙れ!」


 俺は聖剣エリデリートでスキルを二つ使用し攻撃する。

 容赦はしない。


 「ぐわああああああああっ!」

 

 エイレンが俺の攻撃を受けて地面に顔面を強打して勢いよく吹っ飛ぶ。

 だが消滅はしない。


 「ラファHPは?」

 「HPは1だ。一度だけ0を防ぎ1になるアイテムを所有している」

 「そうか。いいアイテムだな」


 俺はエイレンへと近づく。

 ディンガとカルラは唖然としていた。


 「これでいいか? じゃあなエイレン」

 「ぐっ、がはっ! お、お前一体どうやって強く?」

 「経験値0でも強くなる方法はあるってことだ」

 「何だと!?」

 「次攻撃してきたらお前を容赦なく殺すぞ」

 

 俺はそう言い残してアイリス達と先へ向かう。

 

 「待ってレイン。私も【アルス・マグナ】に入りたいな。いいよね?」

 

 カルラが焦った顔でそう言う。

 そうかこういう奴だったか。


 「仲間を簡単に見捨てるような奴とパーティーを組みたくない。悪いが加入させる気は無い。元気でな」

 「なっ。ま、待ってよ」

 

 俺達はバイクに乗ってアルフォード国へと向かった。


 エイレンside


 「く、くそがあああああああああああああああああああああっ!!」


 エイレンはHP1になって砂漠の真ん中で倒れている。

 そして魂の籠った大声で叫ぶ。


 「クソが。クソが。クソが。絶対に許さない。おいディンガ、カルラ、ルート。俺達もアルフォード国へ行くぞ」

 「行けませんよ」

 「どういう事だ!?」

 「あそこはハンターランク3000以上必要です。ハンターランク1000未満の私達では無理です。それと私はここで離脱しますのでさようなら」

 「何だとお前!?」


 ルートはそう言ってレイン達がバイクで向かった方向へと歩いて行ってしまう。

 残された三人はその場で怒りを露にする。


 「ふざけるなあああああああああああああああああああああっ!!」


 エイレンに絶望が追い打ちを掛ける。

 この日エイレンはレインに敗北し、ルートに離脱された。

 生涯で最も屈辱を味わった日である。


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