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第二十三話 ラール出立

今日はあと数話更新します。楽しみにしていてください。

 ラールside


 ラール・アーノルドは現在苛立っていた。

 

 「あーあ。兄貴が居なくなってから退屈だ」

 

 ラールは虐める対象がいなくなって、心から退屈していた。

 冒険者ギルドでハンターランクを渋々上げている現状。


 「仕方ない。兄貴を見つけるか。まだ生きてるだろきっと。この固有スキル【魔剣聖】で遊んでやるぜ」


 ラールは現在ハンターランク30である。

 渋々上げていた為か、最近ガーレーン国最高難易度のクエストをクリアしたばかりだ。


 「攻撃力1000か。もう敵はいないな。だが一応油断せずまだまだ上げておくか」


 ラールは油断はしなかった。

 一応アーノルド家の次期当主であるからだ。


 「ラール様。ユリア様がご対面したいと」

 「分かった。部屋に入れろ」


 使用人たちはガーレーン国の中でも有数の貴族であるアーノルド家次期当主に平伏していた。ガーレーン国の中でも史上最高の才能の一人だと言われているラール。

 そして現在ラールはガーレーン国以外でも名を轟かせている。

 魔剣聖のラールと。


 「何だユリア?」

 「いえ重要なニュースをお耳に挟みまして」


 ユリア・ディーテッド。

 アルフォード国という巨大国家のお嬢様である。

 ディーテッド家がラールの才能に目を付けた為、嫁入りさせようと企てラール・アーノルドの下に送り込まれた少女だ。かなりの美少女である。


 「ラール様にはお兄様がいらっしゃいましたよね」

 「ああ、あの無能兄貴か。それがどうした?」

 「いえ最近凄い活躍されているとアルフォード国にもお話が入って来てまして。兄弟揃って凄いんですね」

 「何!?」


 ユリアが嫁入りの下準備の為偵察に送り込まれたのは一昨日。

 だからユリアはレインが外れスキル【経験値0】の無能だと知らなかった。


 「やっぱり生きていたのか。だが活躍とはどういう事だ。レベルは上がらない筈なのに」


 ラールはレインの活躍を耳にして困惑していた。

 何せ固有スキル【経験値0】のせいで経験値が一切入らずレベルが上がらない。

 即ちステータスは上昇しない。お金も手に入らない筈だから武器や防具でステータスを上昇させる事も不可能な筈だ。


 「確かめに行くか」


 ラールは真剣な表情で語る。

 しかし表情とは裏腹に内心下卑た笑みを浮かべていた。


 (遊び相手がまだ生きていて最高だぜ。やっぱり一番虐め甲斐があるのは兄貴だな)


 ラールはレインを探すためにガーレーン国を出国する。

 同時にユリアはレインに興味を持ち始め、ラールに同行する。


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