2-8 寝起きにドッキリ?
2ー8 寝起きにどっきり?
俺たちは、その夜は、夜営地の何ヵ所かで火を焚いて休んだ。でも、夜は、けっこう冷え込んで寒かった。
はやく、家を作らなくては。
俺は、そう思いながら眠った。
そのせいか、夢を見た。
暖かい家の中で布団にくるまって眠る夢だ。
だが。
朝、俺は、姫の声で目覚めた。
「不潔!不潔だわ!」
「な、なんだよ?」
俺は、眠りから醒まされて、不機嫌だった。
この人は、何を朝から騒いでいるんだ?
だが、目覚めてはっと隣を見て、俺は、飛び上がらんばかりに驚いた。
俺の毛布の中に、というか、俺のすぐ横に、体を擦り寄せて黒髪の美少女が眠っていた。
しかも、全裸で。
「ええっ?」
「ん・・カナメ・・寒いよ」
少女は、なおも、俺に抱きついてくる。
俺は、その美少女の手をそっと振り払うと、彼女に毛布をかけてやった。
誰?
俺は、眠っている少女をじっと見つめた。
肩まで伸びた美しい黒髪。陶器のような白い滑らかな肌。
「えっと・・」
俺は、ぐるぅっと昨夜の記憶を辿っていた。だが、その少女のことは思い出せなかった。
「信じられない」
姫が突き刺すような眼差しで俺を見ていった。
「こんな幼い子供に手を出すなんて」
「ち、違う!これは・・俺は、無実だ!」
「ん・・」
少女が、目を擦りながら起き上がった。
「どうしたの?カナメ」
「いや、その、君も、言ってくれよ。俺が、何もしてないって」
「えっ?」
少女が傷ついた様な表情を浮かべた。
「昨夜は、あんなに可愛がってくれたのに・・」
「はい?」
記憶がございません。
あわあわなっている俺に、その少女は、答えた。
「僕は、アズミ、だよ 、カナメ」
なんですと?
少女は、俺たちが見ている前で毛布から出て立ち上がった。
あれ?
俺は、目が丸くなっていた。
あまりかわいいから、てっきり女の子だと思っていたのに、あれがついている。
「きぃやぁあぁっ!」
姫が悲鳴をあげた。
「お、男?男の子?カナメ、あなた、動くものならなんでもいいのですか?この変態!」
「そんなわけねぇだろ!」
姫に言って、俺は、少年に視線を戻した。少年は、俺ににっこりと微笑むと、次の瞬間、ぽん、と子竜に変化した。
「きゅう」
マジか?
というか、アズミちゃん、オスだったの?
「やっぱり、獣と・・」
姫がわなわなと呟いているのを見て俺は、言った。
「そんなわけがねぇだろうが!」