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2-4 ええっ、国を造るんですか?

2ー4 ええっ、国を造るんですか?


翌日、俺たちは、女王の謁見の間へと案内された。

そこは、薄暗い広間でそこここに魔法の火が灯っていて、女王の美しい横顔を照らし出していた。

豊かに波打つ黒髪に、褐色の肌をした大柄な美女である女王は、一段高いところにある玉座から俺たちを見下ろしていた。

「この度は、大義であったな、異国の者たちよ」

女王は、俺たちに言った。

「私は、ザナドゥ・クリシュナ。この砂漠の民を統べる女王だ。ときに、異国の勇者 カナメよ」

「はい」

俺は、女王の呼び掛けに応じた。

「なんでしょうか?」

「我が都の渇れた湖を満たし、川を造り、大地を潤してくれたこと、礼をいう。私は、あなたに最大の感謝を示したいと思う」

女王ザナドゥは、俺に訊ねた。

「あなたは、この私に何を望む?」

「では」

俺は、正直に話した。

「俺は、実は、クリスティア王国の女王によってこの世界に召喚されてきました。できれば、元の世界へ戻る方法を知りたいのです。もし、ご存じであれば教えていただきたいのですが」

「ほう、異世界人とな?」

女王は、ふむ、と首を傾げた。

「そのような術が他国にはあるときいたことなあるが、我が国には、残念ながら知られてはおらぬ」

「そうですか」

俺は、がっくりと肩を落とした。

「なら、いいんです」

「他に何か望みはないのか?カナメよ」

女王の問いに、俺を押し退けて姫が手をあげた。

「はい!あります。女王ザナドゥよ」

「あなたは?」

女王に問われて、姫は、膝を折った。

「私は、かつてのクリスティア王国国王の娘、マージニア・ラニ・クリスティアでございます」

「そうか、国の動乱のことは、聞いている。さど、苦労されたことであろう。この都でゆっくりと過ごされよ、マージニア姫よ」

「その、僭越ながら女王にお願いがございます」

姫の言葉に、女王は、訊ねた。

「なんじゃ?」

「どうか、私どもが逆賊より故国を取り戻すためにお力をお貸しいただけないでしょうか」

「ふむ」

女王は、おうように頷くと手をヒラヒラと振った。

「力を貸したいのはやまやまだが、断る」

「はい?」

姫は、女王に食い下がった。

「なぜです?」

「我が国は、長年、魔族との戦いを続けており、国は疲弊し、民は傷ついておる。その上にこの水不足で国は、危機にひんしておる。とても、今、他国と一戦を交えるような力は残されてはおらぬ。しかも、そなたたちは、己の兵も持たぬようだしな」

「そ、それは・・」

姫が女王の言葉に唇を噛んだ。

ほら、言わんこっちゃない。

俺は、溜め息をついた。

すっかり、足元を見られちゃってるよ。

「だが、国を追われたそなたたちに同情は禁じ得ない」

女王が言った。

「どうであろう。我が国と魔族の国の間に、誰のものでもない場所がある。そこにそなたたちの新しい国を造っては。それなら微力ながら力になろう」

「新しい国を造る?」

姫が露骨に嫌そうな顔をしたのをアリサがスパンっと頭を叩いて押さえ込んだ。

「実にありがたい申し出ではないですか、姫様」

「うむ」

ナジが同意した。

「我ら国を追われ、行き場もない。しがない旅芸人に身をやつしておりましたが、これで安息の地を得ることができるのです」

国を造るって?

俺は、ちらっと姫の様子を窺った。

姫は、不承不承に頷いた。

「確かに、このまま旅芸人を続けるわけにはまいりませんわね。ナジは、無能だし、アリサは、音痴。ジルは、致命的に不器用、カナメは、役立たず。わかりました。ありがたくお言葉をお受けいたします」

「そうか。土地だけでは、心もとないであろう」

女王が言った。

「奴隷を1000人、用意しよう」

「お心遣い、誠に、感謝いたします」

姫は、女王に礼をとった。

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