2-3 饗宴にて
2ー3 饗宴にて
ルギナリスは、俺たちをクリシュナーダ・クスタリカの宮殿へと案内すると、客間に通した。
金色の客間は、何もかもがゴージャスだった。俺たちは、1人づつ別々の部屋を与えられ、下にもおかぬ扱いを受けていた。
夕方、俺たちは、大きな広間へと案内され、歓待を受けることとなった。
フカフカの美しい絨毯に座った俺たちの前に見たこともないような豪勢な料理の山が並べられた。
「さあ、どうぞ、召し上がってください」
ルギナリスは、俺たちにご馳走やら酒やらをすすめてきた。
俺は、空腹に耐えられず手前にあった骨付きの肉に手を出して齧りついた。
うんまい!
横を見ると姫たちも、ご馳走をパクついている。
うん。
まあ、いいか。
俺は、肉の塊をとってアズミちゃんに分け与えた。アズミちゃんは、喜んでハグハグと肉を食った。
「それで、みなさんは、どこの国から来られたのですか?」
ルギナリスにきかれて、ナジが答えた。
「我々は、クリスティア王国から参りました」
「クリスティア王国、ですか」
ルギナリスは、ほうほう、と笑顔で頷いた。
「なかなか、遠いところからお出でになられたのですな。あそこは、つい最近、政権が代わったとか」
「それは・・実は、我々は、そのために国を追われたのです」
ナジは、表情を曇らせた。ルギナリスは、ほう、と相槌を打ちながら、きいた。
「というと?」
「その、ここにいるこの方が」
ナジは、隣に座っている姫を指して言った。
「本来のクリスティア王国女王となられる方なのですが、逆賊によって 国を追われ、我々元家臣と旅芸人一座に身をやつして旅をしていたのです」
あれ?
俺は、ちょっと首を傾げた。
なんで、ここでこんな話をしちゃってるの?
ルギナリスは、うんうんと頷きながら、ナジに言った。
「では、皆様は、今、流浪の旅をされているというわけですな。それは、気の毒な」
「まあ、そういうことです」
なんか、腹を探られてるぞ!
俺は、ちらっとナジの方を見た。
ダメだ。
ルギナリスに酒をすすめられ、ナジは、杯を重ねていた。
俺は、姫の方を見た。
姫はというと、ナジの話にうっすらと涙ぐみながら頷いている。
ダメだ、こりゃ。
この人たち、相手に弱味を見せすぎてるよ。
俺は、溜め息をついた。
こんなんで、大丈夫なのか?