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第8話 逃亡


「しょうがないわね。そこまで言うなら教えてあげる!それはね...ローブを深く被って走る!それ以外ないわ!」



「誰でも思いつくわ!期待して損した!」



思わず突っ込んでしまった。エルと会うまでずっとローブを深く被っていた。その時には誰かから声をかけてくることもなかった。案外大丈夫かもしれない。一度冒険者ギルドでバレてしまって身を引いていた感じはあった。



「でも。良いかもしれないですね。どうですか?龍太郎。試す価値はあります」



「そうだなリア。それで決まりだ」



俺たちと一応エルもローブを深く被り、大通りに出てすぐさま走り出す。賑わっている商店や人通りを颯爽とかけ抜けていく。だが、1人見覚えのある奴が前にいた。そいつは冒険者ギルドで俺たちが外へ出ようとした時、扉を塞いでた奴だ。なおかつ、俺たちに嘘をつかれたこともあって、物凄く怒って探している様子だ。気づかれたらまずいので、俺たちは道の端でしゃがむようにして走る。幸いにも、俺たちに背を向けて、反対側を見ていたので、この隙を逃すまいと、さらにスピードを上げる。そして、去り際に猛ダッシュ。だが、突然そいつは振り向いた。



「おい!そこのローブを被っている奴!待て!止まらねぇーと、魔法を使うぞ!」



そんなことは出来るはずもない。ここは大通りで人通りもある。もし魔法を使えば、被害が俺たちだけでは済まなくなる。ただの脅し文句だろう。



「くそ!止まらないつもりだな。【行け、追尾鳥】!!」



右手に青い魔力を集中させ、鳥のように変形したそれを俺たちに向けて投げ放つ。

人を避け、また1人避けて俺たちに向かってくる。

すると、エルが立ち止まった。



「エル」



その姿に俺はつい呼びかけてしまう。



「このままではまともに食らってしまうわ!ここで私がどうにかしてあげる!あなた達は黙って私の勇姿を見ていなさい!」



「大丈夫なのか?」



「見縊るってもらっちゃ困るわ!私意外と強いのよ!」



青い鳥がさらに大きくなってこちらに向かってくる。先程の冒険者とはある程度の距離はあるのでこの魔法を防ぎければ逃げれそうだ。



「【暗殺術 第2幕 【殺傷】】」



エルが左の腰に携えている短剣を引き抜き、暗殺者の如く、素早く、音も立てず、静かに青い鳥をかき消した。

青い鳥に反応して、周りがガヤガヤしてきたのでそのまま俺たちは踵を返した。


家に着いた俺は早速エルに取引きした残りの聖金貨を渡した。



「これ約束のやつ」



「っっん!ありがと!これで私はあなた達の仲間!改めてよろしくね」



受け取ると、エルは満面の笑みを浮かべ、手を差し出してきた。



「あぁ。これから頼むぞ」



「私もいますよ」



俺とリアとエルは手を握り。正式に仲間になった。

お金が絡んでいる時点でどうかと思うが、その点に関しては気にしないでおこう。



「それでエル、さっきのは何だ?」



エルは先程の戦いで暗殺術というものを使っていた。気にならないわけがない。



「えーと。あれは暗殺術。暗殺者だけが使える技よ。第1幕から第10幕まであって、使える技が違ってくるわ。私は第2幕までしか使えないけど、それ以上使える暗殺者はたくさんいるわ」



「ちなみに俺とかリアは使えるのか?」



「無理よ。ある程度のレベルがないと使えないの。もし使おうとしたら体中が砕け散るわ。まぁ私はあなた達が砕け散ったって知らないけどね!多分...」



「そうか...」



レベルを上げないと使えないか、地道にやるしかないな。



「私、龍太郎のためにも頑張ります!レベル上げ頑張りましょう!」



リアが輝かしい目をして、俺を見つめてくる。



「そうだな。一緒に頑張るか」



「頑張りなさい。あなた達はまだまだ初心者なのだから。これからたくさん人を殺すのよ!ってかここの家。まさかミスレディーの家なの?」



部屋を見渡したエルは疑問を口にする。



「そうだが、なぜ知っている。もしかして暗殺依頼されていたのか?」



「そりゃーここら一帯を仕切っているのはミスレディーだったのし、それにお金持ちとして有名だしね。必然的に暗殺対象になるのは時間の問題だったわね。ただ、戦闘能力は殆ど皆無だったみたいだけど」



流石の情報力だ。もしかしたら俺がミスレディーを殺さなくても暗殺者が殺しに来たのかもしれない。まぁ、終わったことは振り返らないでおこう。



「後、一つ言いたいことがあるわ」



「何だ?」



「龍太郎はミスレディーを殺したのよね?」



「そうだが」



「だったら何で殺した相手の家に住んでいるのよ!」



「住んではない。落ち着いたらここを出ようと思っていた所だ。俺もこの家は嫌だしな」



拷問されて、なおかつ殺されかけた家に誰がいたがるのだろうか。



「落ち着いたらっって!もし誰かが訪ねてきたらどうするの!心配して衛兵がくることもあるのよ!本当信じられない!バカすぎて呆れたわ!暗殺者たるもの暗殺対象の家は証拠を消して、去るものなのよ!それかいっそのこと燃やすことね!この家はすぐさま出るのが正解だわ」



それに関しては全く考えていなかった。復讐やこの国に対する理不尽への対応で頭がいっぱいだった。エルの言っていることは正しい。ここは素直に従っておこう。



「わかった。ここを出よう。でもここら辺に宿はあるのか?」



「私が今、根城にしている所があるわ。そこへ来なさい。3人は少し窮屈かも知れないけど。そこは我慢ね」



「ありがとなエル。俺たちのことを考えてくれて」



「な、何よ。そんなこと言うなんて気持ち悪いわ。ただ、仲間だから...。当然のことよ。それに私はあなた達を導くんだから!」



「エルの助言はありがたい、本当の気持ちを言っただけだ」



「私もエルに負けずに龍太郎の役に立ちたいです!」



リアも負けじと割り込んできた。



「リアもその気持ちだけでありがたい。救われるんだ」



今まで色々あって、こんなことを言われると心の重りが軽くなるように感じる。こいつらが居れば生きていける。今はそんな風に思う。



「さて、ここでやることは済んだし、私の根城に行くわよ」



「あぁ」



そして、これから学院編が始まる。


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※お読みいただきありがとうございます!次話からは学院編に突入するのでこれからも読んでいただけると嬉しいです!

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