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嘆きの魔女は愛する男に銃口を向ける  作者: 皇海宮乃
第六章 ユリアーナを救え
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6-2

「殿下、いいじゃありませんか、ユリアーナは正式な婚約者では無いのです、御身を守る事が第一です、どうか、この場からお引き下さい」


 唐突なイリーネの言葉に、レオンハルトは鼻白んだ。


「バカな、何を言っているんだ、イリーネ、私は彼女以外の女性を妻にするつもりは無い」


 イリーネの、ひいては、指示を出しているフィーネの、ではあるが、意図を汲めないレオンハルトが反論する。


 しかし、フィーネとしてもそこは折り込み済みだ。


 王太子が芝居がかった様子を見せれば、ルイーゼもすぐに異変に気づくだろう。まずは、中にいるルイーゼの意識を引きつける事が大切だ。


 一方、イリーネの方は、既に意中の相手では無いとはいえ、王太子からキツく言いかえされて、既に心が折れかかっている。救いを求めるようにフィーネを見たが、フィーネはイリーネを奮い立たせるように肩を引き寄せて、フィーネ自身もこう言った。


「殿下、今、この場で、このようなやり方で取引をもちかけられたと、ユリアーナが知れば、恐らく我が身を投げ出しても殿下を守ろうとするでしょう、イリーネの言う通り、この場からどうか、お下がりを」


「フィーネ……そなたまでそんな事を! 君は、ユリアーナの親友では無かったのか?」


「親友だからこそ、です。もし今、殿下の御身に事有るならば、ユリアーナ自身、己を許せないでしょう、真実彼女を思うのであれば、どうかこの場は」


 ぐいっと、フィーネがイリーネを前に押し出すと、イリーネも続けた。


「王族としての務めを、どうか身をもってお示し下さい」


 イリーネとフィーネが、レオンハルトの説得を始めると、実験室の中で、人が動く様子があった。メルセデスは、フィーネの意図を察し、研究室側にニクラスが近づいているのを見た。


 それは、王太子の背後の出来事で、イリーネとフィーネに気をとられているせいか、王太子自身も気づいていない。


 静かにニクラスが鍵を開け、中に入る。

 ドアのところに控えていたマルガは、アルベルトの不在を手振りでメルセデスに伝えた。


 メルセデスは、マルガの動きに呼応するように、実験室側に聞き耳をたてる。


 男の声を、確かにメルセデスは聴いた。


 王太子に気づかれないように、メルセデスはマルガに近寄る。


「……恐らくだが、アルベルトも実験室側にいるようだ」


 現状、ルイーゼがユリアーナを人質に立てこもっている中、同じ場所にいて、なおかつ、その存在を隠している意図は一つしか無い。


 メルセデスは、自分のやるべき事を決めた様子で、実験室の扉に取り付いた。


 マルガは、メルセデスを止めなかった。


 既に事は進み始めていた。


 今、声をあげて、ゲルト達を止める事はできない。


 ゲルトとニクラスが、研究室側の扉に手をかける。


 合図を送るのはマルガだった。


 研究室側の扉を、ゲルトとニクラスが開くのと同時に、メルセデスも実験室の扉を開けた。


 と、同時に、隠れていたエラが飛び出して、フィーネと共に王太子を実験室から離す。


 イリーネは自力で我が身を守為、走り去った。


 パァァン! と、一発大きな音がして、ゲルトがアルベルトを、メルセデスがルイーゼを、そして、ニクラスがユリアーナを確保した。

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