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街の大掃除。




ギルドでは三ヶ月に一度、街の大掃除が行われている。冒険者で手分けして区画ごとにゴミを拾っていく。

そして何故か、俺にもその大掃除への参加願いの手紙が届いていた。

最近、街の防衛でゴブリンと戦ったり勇者さん達とダンジョンに行っていたからか? ……冒険者登録はしていないんだけど。

手紙を読むと、どうやら参加可能な冒険者は一度ギルドに集合してから、掃除をする区分を決めるようだ。


店も昼から開けられそうだから構わないんだけど、どうやって住所を突き止めたんだ……。



当日の朝、ギルドに入るとすでに三、四十人の冒険者が集まっていた。ギルドマスターが出てくるのを待っているようだ。見知った顔はいないものかと周りを見渡すが、誰も見つけられない。

勇者さんやダッカさんは何か依頼でも受けているのかな。話す相手もいないし、適当に端によって時間まで待っていよう。

そして、しばらく壁に背中を預けてぼーっとしていると、隣に腰に刀を佩いた海人族の女性がやってきた。


「あら、貴方も冒険者? 見覚えがないのだけれど……」

「いえ、冒険者ではないんですけど、何故か参加願いの手紙が届きまして……。時間もあったので参加したんです」

「……ふぅん、律儀ね」


この人は街の防衛戦にも参加していたな。確か、自分の刀と会話していた危ない人だ。

他の女性陣とは違って、下半身丸出しのゴブリンにも躊躇なく突撃していたからよく覚えている。


「あなたは……」

「あなた、ではないわ。カカと呼んでもらえる?」

「……じゃあ、俺のこともてん、と呼んでください。カカさんはゴブリンが街に襲ってきたときにも、戦いに参加していましたよね?」

「貴方もあの場にいたのね」

「はい、……ですけど、あの時と比べて、その、カカさんの雰囲気が少し違うように見えるんですけど……」


そう、あの戦いのときと比べて少し、というかとても落ち着いていて大人しいように見える。

あのときは近づくのも躊躇うほどの危険性を感じたんだが……。


「……私、この子の気持ちに中てられると、少々性格が変わってしまうの」

「少々……?」

「なに?」

「何でも無いです」


カカさんが腰の刀に触れながら語っている。

あの変わりようは少々どころではなかったと思うんだけどな。


「それであの時はこの子が興奮していたから、私も気持ちが昂ってしまっていたのよ」

「なら、依頼のときはいつもあの状態になってしまうんですか?」

「いつも、ではないわね。この子の気分が乗ったときだけよ。普段は大人しく眠っているわ」

「……なるほど」


戦うとき常にバーサーカーのような状態になっているわけではないらしい。

でも、武器の気持ちが理解できるなんて、よほどの使い手なんだろうか。


「……ギルドマスターが来たわ。もう始まるみたいね」


カカさんと話していると、奥のギルド長室から職員と一緒にギルドマスターが出てきた。


「よく集まってくれたなお前ら!! よし、それじゃあ今から掃除する区画の組み分けをするぞー。……せいっ!!」


突然腰の剣を真っ直ぐぶん投げて、ギルドの出入り扉前の床にぶっ刺した。


「「「うぉっ、危ねぇえ!! 何すんだっ、この野郎っ!!」」」


剣が通り過ぎる付近にいた冒険者達から非難の声が上がっている。

端にいてよかったな。


「うるせぇっ! 剣を刺した場所より右にいる奴は北区、左にいる奴は南区担当だ。掃除道具は職員が用意した奴を使え!!」

「「「決め方適当だなっ!!」」」

「誰が一緒になろうが関係ねぇだろうが!! 関係あるのはやる気があるかどうかだが……、こんな朝からわざわざ集まってんだ。…………テメェ等、信じてるぜ……」


「「「…………ギルドマスター……」」」


「『ギルド条例八項、街の汚れは人の汚れ、人の汚れは心の汚れ』だ。きれいさっぱり掃除すんぞっ!!」

「「「おおぉぉぉおおーーーー!!」」」



……冒険者のみなさん、誤魔化されてないか?

たぶん、考えて決めるのが面倒だっただけだろうな。相変わらず傍若無人な人だ。


「ほうきにちりとり、ゴミ袋がそれぞれ用意してありますので、みなさん順番にお取りください」


受付嬢さんが、掃除用具を冒険者さん達に順番で渡している。


「それでは、私達も行きましょうか」

「そうですね」


隣り合って立っていた俺とカカさんは南区が担当になった。南区は大家さんと買い物したときに歩いた大通りがある区画だ。

北区に比べると人通りも多いから大変かもしれないな。


……まぁ、たまには街のために頑張ろう。




「……む?」

「どうしたんですかい、冒険者さん」

「…………むー」


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