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勇者さんダンジョンへ!!




俺達はヴァンさんの魔法で吸血バットを撃退したあと、再びダンジョンを進んでいた。

だが、宝箱がありそうな場所になかなかたどり着けない。


「また行き止まりだ……」

「……ふむ、ではまた戻るかのぉ」

「くっ、こんなに何も見つからないとは……」

「仕方なかろう。根気強く探してみるしかあるまい」


先ほどから、行き止まりにあたっては来た道を戻っては別の通路に進み、また行き止まりにあたっている。左から網羅していった方がよかったかもしれない。

運がないな。一番奥まで続いている道は一つだけなのか?


「勇者さん、一度休憩しますか?」

「いや、あまり時間をかけ過ぎても今日一日で探索しきれないかもしれない。だからこのまま行きたい、けどいいかな……?」

「いいですよ、今日は勇者さんのお付きですからね」

「儂も構わんよ、まだまだ動けるからのぉ」

「……ありがとう。……よし、次の通路に行こう!!」


そして次の通路を進もうとすると、その通路の奥から何か小さい音が聞こえてきた。

またモンスターみたいだな。


「何かが走っているような音じゃな。それもまた多くいるようじゃぞ」

「……バットじゃないのなら、今度こそ僕が!!」


勇者さんがしっかり学習してくれているようで良かった。

また、勝手に突っ込んでしまったらどうしようかと思ったが……。

小さかった足音が段々と大きくなり、とうとうその姿を捉えることができた。通路の奥から姿を現したのは、コツネと同じ大きさほどのネズミの群れだった。


げっ、あれは…………。


「店主、あのネズミ達は何だ! また噛まれたら痒くなったりするのか!?」

「……あれはジャラットですね」

「何か特徴はあるのか!? 噛まれたら痒くなったりするような!!」

「いえ、特に害もなく人懐っこく、愛嬌のあるモンスターですよ。ペットとして飼っている人もいるらしいです」

「何だ、じゃあ別に倒さなくてもいいのか?」

「……いえ、逃げましょうか」

「何でだ、害はないんだろう?」

「彼らに捕まると、彼らの気が済むまでじゃれつかれますよ。……ヘタしたら数時間ほど…………」


「「「「「チューチュー、チューー!!」」」」」


不思議とジャラット達の後ろにハートマークが浮かんでいるように見える。別に掴まってもいいかな、と思ったけど勇者さん達のためにも時間を無駄にするわけにもいかない。

コツネの方が可愛いんだからなっ!!


「儂の魔法で倒すことはできんかのぉ」

「彼らに向けて魔法を放てます?」


「「「「「チュチューー、チューチューー!! …………チュー?」」」」」


こちらの声が聞こえているかのように。理解できているかのように、一度立ち止まり可愛らしく小首を傾げるジャラット達。

僕達をどうするの? とでも言っているかのようだ。


「…………儂にはできんのぉ……」

「というわけで逃げましょうっ!」

「くっ、何でこんな変にやっかいなモンスターばかりいるんだっ!」


「「「「「チューチュー、チューー!!」」」」」


そこからはジャラット達から逃げるのに精一杯で、がむしゃらにまだ通っていなさそうな道を走っていた。

だが、この調子だとすぐに行き止まりにあたり、彼らに捕まってモフモフされてしまう。


「はぁ、はぁ……、店主、どうする!?」

「はぁ、はぁ……、ど、どうしましょうか」

「…………わ、儂は、そ、そろそろ、…………げ、限界なんじゃが」


まずいな。俺と勇者さんはともかく、このままだとヴァンさんが最初に力尽きてしまう。奇跡的に、俺達が当たりの通路を走っていることを願うしかない状況だな。

しかし、現実は甘くなかったみたいだ。


「……っな、行き止まり……!!」

「…………っはぁ、やっと休むことができるのぉ」

「言ってる場合じゃないですよ、ヴァンさん」


俺達はついに通路の行き止まりにあたってしまった。走ることでジャラット達と距離を稼ぐことができたけど、どうやらここまでみたいだ。

あぁ、今からジャラット達に体を弄ばれることになるのか。……別にいいか。それも悪くない気がしてきたな。

しかし、勇者さんは決して諦めてはいなかったようだ。


「こんな所で立ち止まっていられるかっ!!」


彼は聖剣を上に掲げると、力を溜めるように構えをとっていた。

これはゴブリンとの防衛戦で見た……っ!!


「勇者さん、まさか……っ!?」

「この壁を壊すっ!!」


やはり、勇者さんは壁に向かって技を放とうとしているらしい。

確かにもう戻ることもできないし、あとは彼らがやってくるのをただ待つしかないんだけど!

でも、こんな地下で壁を壊してしまったら天井も落ちてくるかもしれないぞっ!?


「待ってください、壁ごと天井も落ちてくるかも……っ!?」

「ウオォオオオ、ッ………ホーリーセイバーーーッ!!」


勇者さんが技を放ち壁を壊してしまった。そして、壁を壊した衝撃で爆煙が通路を覆った。とっさに顔を手で覆い爆煙の中で視界を確保し、壁があった場所に近づく。近くの勇者さんとヴァンさんの姿も見えなくなってしまった。


……どうなったんだ、何も見えないぞ?


「勇者さ…………」


「…………っ、うわぁあああぁぁぁーーーーーっ!!!!」

「……ふぉ? ふ、ふぉおおおおぉぉぉーーーーーーっ!?」

「……えっ? あ、あぁぁあああぁぁーーーーーっ!?」


勇者さんの悲鳴が聞こえたと思ったら、俺の足が誰かに引っ張られた。

そして俺とヴァンさんの悲鳴が同時に鳴った。

何が起こったか分からなかった。でも、咄嗟の浮遊感と、お尻を打ちつけながらも下に滑り落ちていることだけが分かった。


「「「ああぁぁぁああああああーーーーーーーっ!!!!」」」


……あと、二人も悲鳴を上げながら一緒に滑っているということも分かった。


そして、俺達は壁があったはずの場所に滑り落ちて行った。




「チュー、チューチュー(あの人達、落ちて行ったよ)?」

「チュー、チュチュチュー(ちぇー、遊んでもらえると思ったのに)!」


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