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チュートリアル君といわけね

 魔法がないと告げた時の、クロード君の顔はとても見ものだった。

 慌てふためいたように、


「ま、魔法がなくてそんな、どうしてその服装といい……ある程度の高度な文明の形成が可能なんだ? 知能や教養だってこちらの世界でも通用するようなレベルに設定して……」

「私の世界は魔法の代わりに、科学というものが発達しているの。それのおかげで色々のことが出来るの」

「例えば?」

「遠くの人とお話したり、遠くの映像を移したり、とか?」

「確かに魔法に似ているな。……いや、お前は嘘を言っている。このステータス表示、どう考えても“魔法”に関する想像力が起因しているとしか思えない」


 疑り深そうに私をみるクロード。

 でもゲームと言ったらステータス。

 だからステータス・オープンは当然の流れだと思うが……なるほど。


「ゲームが貴方には分からないんだ。だから“ステータス・オープン”の流れが分からない」

「……確かにな。お前……ミドリの言うその“ゲーム”はこの世界にない概念だ。そしてそれは魔法に似ている。しかもこのステータス、余分な事も大量に書かれているし、だが、特殊能力チートといえば納得できるか。しかし、よくこんなどうでも異能力を選んだな。戦うのが便利な能力にしておけばいいのに。ああ、なるほど。相手の能力が分かれば、どう対処すればいいか分かるから……」


 それを聞きながら私はクロードが、まだ勘違いをしているのに気づいた。

 だから私は、


「私の特殊能力チートは“ステータス・オープン”じゃないよ?」

「え?」

「ゲームっぽい能力だし」

「……詳しく」


 との事で、私は説明した。

 わたしのかんがえたさいつよのげーむのうりょく! を。

 全部ではないが!(量が多かったので)


 説明した後、クロード君は灰になったように真っ白になっていたのはいいとして。

 ちょっと俺TUEEEEみたいな感じにしただけなのに、どうしてこのような反応をするのか。

 そう思いながら私は、新たに思いついた疑問をぶつけるべくクロード君に聞いてみた。


「そういえばクロード君」

「なんだ、変な異世界人」

「……君は私にとってどういう役割なの?」


 だがその問いかけに気落ちしたようにクロードが、


「……ああ、俺の代わりに手足となって苦労してもらおうと思ったのに、これだと説明したり止めたりとか、面倒なことを俺はしないといけないじゃないか」


 私の問いかけずにブツブツ言っている。

 勝手に呼び出して都合よく使おうとは何事だと思いつつも、彼のこれからの役割について今の言葉から考えると、


「つまり、チュートリアル君というわけね」

「何だそのチュートリアルというのは」

「んふふ~おしえな~い。これからよろしくね、チュートリアル君」

「待て、何だか変な感じがする、本当にどういう意味だそれ」

「ふふふ~」

「おい!」


 だが結局私は答えませんでした。

 その後はどうにか“お前”から、ミドリちゃんではなく、ミドリと呼び捨て状態にされてしまったわけですが。

 それから私の身分証や戸籍などなどを偽造……もとい、王子様権限で作ったらしい。


 クロードは王子様だったらしい。

 そういえばステータス画面に書いてあったような気もするが、他にも何かあった気がする。

 恥ずかしかったらしくクロードの体で即座にデータは隠されてしまったので、私はよく見ていなかったが。


 聞かれたらそう答えるとクロードは安堵したらしい。

 よほど“恥ずかしい”秘密が書かれていたのだろう。

 そして、クロードはあまり事情を説明してくれなかったが、こうして私達は、とある魔法学園に季節外れの転入となったのだった。


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