わたしのかんがえたさいきょうのげーむのうりょく!
私がまず選択したのは、ゲームっぽい能力である。
出来れば“特殊能力”であればなおよしだ。
そう思っていると目の前の少年は変な顔をして私を見た。
何かおかしなことを言っただろうかと思っていると彼は、
「ゲームっぽい能力をください? ゲームってなんだ? ボードゲームではないよな?」
どうやら電気を使わない、“人〇ゲーム”のようなものや、ビンゴのようなものを彼は想像しているらしい。
電気も通っていないし、この世界にはTVゲームやパソコンゲームがないらしい。
確かに魔法で起動させるパソコンは思いつかない。
だが私達の世界の電気は最終的に、お湯を沸かしてタービンをまわして電気を作っている一方で、化学反応で直接電気を手に入れられれば変換効率も良かったり~といった方法もあるので、後者の方は直接電気エネルギーさえ魔法で出せれば何とかなりそうな気もする。
だからこの世界のどこかにインターネットがある可能性も無きにしもあらず!
……でも彼の様子から、それはなさそうだなと私は思った。
言語から私の言いたいそれを表す言葉がこの世界にはないようだったから。
すると彼は、
「よく分からないが、こちらに立ってその“ゲームっぽい能力”とやらをイメージしてくれ」
「イメージ?」
「ああ、お前が頭に描いた能力がそのまま手に入る」
「へー、便利だね。それでお前でなくて、ミドリちゃん、て呼んで欲しいな」
「分かった、ミドリ、早く移動しろ。俺も面倒くさ……忙しいんだ」
などと言ってくる彼に私も私で、美少年だからってちょっと態度が悪すぎないかと思った。
高圧的というか。
だがとりあえずは特殊能力は手に入れておきたい。
これから彼のいう事を聞く、聞かないにかかわらず、力はあった方がいい。
でも自分で言ったのもなんだが、ゲームっぽい能力って何だろう?
色々あるよね、空間転移とかマップ出したりとか他にも……etc。
そこで私は気づいた。
どんな能力でもいいのならばつまり、“わたしのかんがえたさいきょうのげーむのうりょく!”でも良いのではないかと!
これで私はこの世界最強の存在になれる、主人公だ! と思った私は、それらを考えていく。
「こうであーでこーであーで、こんな感じかな」
「決まったか、ミドリ」
「うん」
「よし、じゃあ、“世界に呼ばれし聖女に祝福を”」
厳かな雰囲気で告げた彼。
そして足元から淡いピンク色の光の粒が浮き上がり私の中に吸い込まれていく。と、
「これで能力が設定されたはずだ」
「そうなんだ」
「試しに軽く使ってみたらどうだ? 俺もどんな能力を手に入れたか興味があるし」
「分かったわ」
そう答えながら私は、まず一番初めに能力を手に入れたらやる、お決まりのアレをやることにした。つまり、
「“ステータス・オープン”」
その言葉と共に私のすぐ横と、目の前の少年の横に、光で作った四角い文字盤に能力などが表示される。
よし、ステータス表示成功!
そう私が楽しく思っていると目の前の彼――名前表示からクロード君が、
「な、何だこれは。なんでこんな何もない空間に、ギルドで測定しないと分からない情報やそれ以外の重要な情報が載っているんだ!」
「それはステータスだから当然じゃない?」
「ステータス、いやいやいや、どうしてこんな表示をする魔法を考えたんだ!? お前達の世界の魔法は、こんなものなのか?」
「? 私達の世界に魔法はないよ?」
「……え?」
凍り付いたように、目の前の彼は私を驚いた顔で見つめたのだった。
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