表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/60

1-1おまえら全員目を覚ませ!

 いったい何がどうしてこうなった?!

 俺はいま、かつて無い程の難局を迎えている。数十分後に武術の決勝戦を行うという、商人の息子としての日常には程遠い状況に。それも唯の試合ではない。年に1度の王国全土の強者を集めた御前試合の決勝戦だ。この状況を打破するために今一度ここ最近の事を思い出してみる。

 じゃ無いと試合が怖くて嫌な汗をかきそうだ。汗だけならともかくチビってしまうかもしれない。



 不思議な感覚としてあるのは5日前ぐらいからか?



 いつも通りに家の手伝いとして隣村へ行商と買い付けを行い、王宮御用達の商会へ納品しただけなのだが、いつもより高値で買い取ってくれるし、仕入れ値も何故か抑えてくれた。

 買い付けついでに趣味で集めている骨董品や装飾品が何故か仕入れの倍以上の値で売れていった。時には物々交換依頼があったりもした。それもより高価な物と。


 2日ほど商会内で売買していたらいつの間にか有名になってしまったようで、貴族のお偉いさんも足を運ぶようになっていた。俺の村も行商範囲も王宮と近いので情報は出回りやすいのだろう。たくさんの貴族相手に商談していたら王宮からの使者と名乗るものが現れ強制的に連れてかれた。


 王宮に着いたら身形を整えるという事で持ち物を預けられ着替えさせられた。謁見は後ほどと言っていたが、俺には心当たりは全くなく、全然意味が分からない。しがない商人の息子である俺が王宮にて謁見する予定はあるはずもなく、そもそも会うような人物にも心当たりはない。にも関わらず上品な軽鎧と細剣を与えられパッとみ貴族の護衛騎士に早変わりした。


 謁見として通された部屋には強面のおっさん騎士と全身白いローブの神官みたいな奴がいた。神官が祝辞のような挨拶を長々とし始める。余りにも長かったのかおっさん騎士が業を煮やして話を遮る。

 おっさん騎士は間も無く開始される御前試合の受付係らしく矢継早に試合ルールについて話していく。

 参戦するつもりなんか髪の毛程もなかった。声を荒げて叫び断ったが俺に拒否権はなかった。あれよあれよと闘技場へと連行された。


 闘技場にて刃を潰した片手剣を含めた試合着に身を包む。言っておくが俺には剣術を含めて武道の心得は全くない。というか握った事があるのはせいぜい木の枝ぐらいだ。刃を潰したとはいえ当たりどころが悪ければ洒落にならない事態となる。怖くて怖くてチビリそうだった。いや多少はチビってたかもしれない。


 現実逃避として我が家の商売心得108訓を暗唱していると初戦の時間となった。小用を済ませておけばよかったと後悔したのを覚えている。怖いとかではなく生理的にヤバかった。逃避も過ぎると意味がなくかえって危険なんだと身に染みて感じたが、そのお陰もあって無我の境地擬きになり易くなった気もした。心を無にすれば恐れも生理現象もコントロール出来るのだ。


 試合はあっという間に終わった。

 さっさと殴られて終わると思ったのだが予想外の出来事に見舞われた。

 相手と向き合った時には恐れも生理現象も限界に近かったので、目を閉じ無我の境地へ至ろうとする。

 目を閉じたまま試合開始の合図と共に剣を勢いよく抜く。勢いをつけすぎたのか正面に構えようとしたのに体勢を崩し2、3歩蹌踉めく。目を開いた時には相手はいなかった。背後にいるのかと思い振り向く勢いで剣を振るった。

 見事なまでに相手の頭に当たりそのままKO勝ちとなった。


 2戦目以降も似たようなもんだった。俺が構えているところに相手が倒れてきたり、避けようとしてフラついた所に相手が居たり。初戦後に小用に行ったので無我の境地は関係無いはず。大規模なドッキリ企画なのでは無いかと疑った時もあったが、今では夢オチなのでは無いかと思っている。


 振り返ってみてもなーんも解決する気配はありませんなぁ〜

 一つも方法は浮かばず、無情にも決勝戦の時間は訪れる……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
試しにランキング付けてみました〜 ポチッとしてくれたら嬉しいです○┓ペコッ 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ