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起こしてみた

遅くなり申し訳ない。

チュンチュン、チュンチュン。コケー!


「くぁ~~わふぅ~」


カーテンの隙間から朝日が差し、鳥たちの声が響く中、プルトくんは目覚めました。場所はアルルさんの寝室。シングルサイズのベッドと小さな丸テーブル、壁掛け時計があるだけの簡素な部屋です。


「わふ、わふ、わっふ!」


プルトくんは左右と頭上を確認すると、慎重に『ベッドの下』から這い出ます。何故そんな所で寝ていたのでしょうか?それは寝床を用意してもらえなかったとか戦場帰りのスペシャリストごっこをしてるとかでは無く、単にアリアさんの寝相が悪すぎて命の危険があったためです。何があったか順を追って説明しましょう。


昨夜は大好きなアルルさんと一緒に寝ることになり、幸せいっぱいな気分で就寝しました。しばらくして、寝苦しさで目が覚めました。どうやらアルルさんは見た目よりも力持ちなようで、寝ている間に力一杯抱きしめられたようです。仕方がないので、もぞもぞ動いて抜け出すと、ベッドの隅で丸くなりました。ちょっと寂しいですが、我慢です。すると今度は、寝返りを打ったアルルさんにボディプレスをくらいました。如何に軽い女性の体重でも、小さい彼には致命的です。圧死する前に抜け出すと、足下に移動して再度丸くなります。しばらくは無事に過ごせましたが、微睡みかけたところに今度は膝が飛んできました。そのまま床に転げ落ちて悟りました。『ベッドの上は危険だ』と。ちょっと悲しくなりながら、渋々床に丸くなります。相変わらずベッドの上ではアルルさんが暴れていましたが、漸く安眠できそうでした。しかし、そこも安住の地とはなりません。寝惚けたアルルさんの足がベッドからはみ出し、踵落しが目の前に降ってきました。


そうして試行錯誤を繰り返した結果が、今朝の現状へと繋がったのです。ただし安全は保証されますが埃っぽいので、そこは今後の改善点となったようです。


何はともあれ、今日はアルルさんと服を買いに行く大事な予定があります。少し寝不足気味なので、プルトくんもまだまだ寝ていたいですが、アルルさんを起こしにかかります。


まずはカーテンを全開にして、部屋を明るくします。続いて窓枠によじ登ると、鍵を開けて窓を開け放ちました。その際、家の前の村道を歩いていた女性と眼が合ったので、ペコリとお辞儀をしておきました。『何アレ?チョーカワイイんですけどー』とか聞こえましたが、今はアルルさんを起こす事が最重要任務です。ベッドまで戻って、その上に飛び乗ると・・・・・・


ペチペチ、ペチペチ、ペチペチ


頬っぺたを肉球でつついてみます。しかし、全く起きそうにありません。もう少し強くつついてみました。


タシタシ、タシタシ、タシタシ


「う、う~~~ん」


反応が有ったので、今度は呼び掛けてみます。


「きゅ~ん、きゅ~ん」


「ん~?プルト?今何時~?」


やっと眼が覚めたアルルさん、壁の時計を確認します。時刻は6時半(因みにセラニカは1日24時間)、起きるには丁度良い時間です。アルルさんはプルトくんに向き直ると言いました。


「プルトくん、キミに大事なお話しがあります。」


「わふ。」


「人体はこんな早い時間に起きるようには出来ていません。もう少ししてから起こして下さい。具体的には後5時間くらい。では、おやすみ!」


バサッと毛布をはためかせ、また寝てしまいました。とんでもない駄目人間ぷりです。5時間も寝たら、もうお昼です。何より、さっき外を歩いている人を見たばかりです。プルトくんにも嘘だと分かります。


「わっふ!」


ユサユサ、ユサユサ


なんとか起こそうと、何度も揺さぶります。


「うぅ~、後3時間~」


「わーっふ!」


ユサユサ、ユサユサ


「後2時間~!」


「きゅ~ん、きゅ~ん」


タシタシタシタシタシタシ


「後1時間!そしたら起きるから~」


そんなやり取りを経て、起きたのは結局7時を回ってからでした。そうして朝食の席に着き、昨日に引き続きまたも麦粥をつつきながらアルルさんが切り出しました。


「プルトくん、お出かけ前にかなり大事なお話しがあります。」


「わっふ・・・」


また騙そうとするのかと若干警戒気味のプルトくん。


「実はキミが使い魔だということがバレると、非常にまずいことになります。具体的に言うと、キミは殺処分か実験体になります。私はそこそこ身分があるので、殺されはしないだろうけど一生牢屋暮らしになります。」


「きゅ~ん・・・」


思いの外ヘビーなお話しでした。


「勿論、私はどちらも嫌です。だからキミには使い魔であることを隠して生きて貰います。幸いにもキミは外見は犬っぽくて二足歩行も出来るから、今日からは犬人族(コボルト) として振る舞うように。」


「わっふ!」


犬人族(コボルト)とは、地域によっては魔物として差別や迫害を受けることもある獣系亞人種族です。独自の言語を持ち、森で狩猟や採取をして生活する種族で、手先が器用なことが特徴です。ヤハティアにも少数の集落が点在しており、たまに自作の工芸品を持って交易都市に現れたりしています。性格は人懐っこく、能天気で好奇心旺盛とプルトくんに通じるものがあります。体型は正に歩く犬と言った感じで、手足はスラッと細長い者が多いので、こちらはプルトくんと正反対のものでした。ただし、幼い内は大抵がずんぐりむっくりなので、大きめの幼児と見れないこともありません。


「プルトくんははぐれ犬人族(コボルト)で、怪我をしているところを私が拾った、という設定でよろしく。」


「わふっ。」


プルトくんが神妙に頷くと、アルルさんは表情を和らげて続けました。


「まあ、早々にバレることはないと思うから気負わなくても良いよ。それよりも折角早起きしたんだから、食べ終わったら買い物前に散歩でもしよっか?」


「わっふ!」

また来週の更新を目指します。

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