よくわからない物体(小説ではない)
自分がどうありたいのか、どうあるべきなのか、わからなくなる。
勉強はしたくない。働きたくもない。けれど学生でいたいわけでもない。毎日を休日のように過ごしたいわけでもない。だからといって、学校に行き続けるのも嫌だ。
何をしたいのかわからない。何をすべきなのかもわからない。
訳も分からず、頭の中で変な考えが浮かんではすぐに消えていく。
そうこうしている間にも、時間は過ぎていく。大人へと、近づいている。
学生生活最後の夏休み、学生生活最後の8月31日。
それは、何も特別でなく、何も変わらない日常。
有名になりたいわけじゃない。誰にも気づかれたくないわけでもない。
派手な日常を送りたいわけじゃない。地味な日常も送りたくない。
自分が何を求め、何を欲すべきなのか。
考えても、答えなんて出なかった。
ただただ時間は過ぎていく。
ただただ目の前にある道を歩いていく。
その先に何があるのか。
その先に何がないのか。
その先へたどり着けるか。
何もわからない。
1秒後の未来すらわからない。
暗闇の中、一歩踏み出せばそこに穴があるかもしれない。
停滞したい。けれど時間は進む。足も勝手に進む。
恐怖しても立ち止まれない。嬉しくても走り出せない。
時間はただただ同じ速さで、ただただ無情に進み続ける。
いくら残酷であっても、いくら幸福であっても。
同じ時間にとどまりたくはない。けれども先へ進みたくない。
矛盾思考のスパイラル、感情のパラドックス。
否定も肯定もできず、ただただ時間は過ぎていく。
時間という道を辿った先には、全てに等しく『死』が訪れる。
それまでに、何をしたいか、何をすべきか。何を求めるか、何を欲すべきか。どうありたいか、どうあるべきか。
わかる時が、来るのだろうか。