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極東4th  作者: 霧島まるは
75/162

いい女

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 ダシ。


 そんな言葉で片付けられて、真理は非常に不快だった。


 血統を差し置いて、イデルグが早紀に会いたがっていたのだと分かったからだ。


 しかも。


 彼女の珍しい能力を知りたくて、などという理由ではなく。


 晩餐室の席についた後も、イデルグは早紀を見ていた。


 そうしていないと見失う可能性があるのだから、しょうがないのは分かるのだが。


 おそらく、特殊な能力のせいで、彼女の出自を調べさせていたのだろう。


 父親はともかく、母親まではすぐにたどれるのだから。


 そして、母親はイデルグの知り合いだった。


 正確には知り合いというより──


「貴沙は、あの当時…魔女の中でも問題児でな」


 大きな手でグラスを持ち上げながら、1stは語り始める。


 魔女が魔族の中での問題児なら、いつものことだと彼は言った。


 わざわざ言葉にまで、されることはないのだと。


 貴沙が、問題児と言われているのは。


「一人で天族にちょっかいをかけたり、海族を騒がせたり…騒々しい女だった」


 イデルグの話に、早紀は唇を引き結んだまま。


 ちらりと真理を見るのは、どう反応したらいいのか分からないからなのか。


「当時、オレは3rdでな。1stのカシュメル卿…いわゆる卿の先代に頼まれて、ちょっとばかし灸をすえることになったわけだ」


 彼は、グラスを宙に軽く掲げた。


 空間がひねられる。


 歪んだ空間が戻った時。


 その宙空には、魔女が現れた。


 クラシカルなのは、マントと帽子だけ。


 レザーのミニスカ、深く胸元の開いた服に、あらわなヘソ。


 派手な化粧と、帽子から飛び出すように跳ねる髪。


 そんな魔女が、こっちをとんがった目で睨んでいた。


 イデルグがグラスを揺らすと、映像は波紋を生んだ後に消滅する。


「いい女だろう?」


 彼は、早紀を見ながら言った。


「灸をすえるつもりが、こっちが火傷させられるハメになったんだからな」


 貴沙の思い出と共に──彼は、グラスを飲みほしたようだった。



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