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極東4th  作者: 霧島まるは
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二歩

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「変な魔女ですね」


 早紀の部屋から、真理の部屋に戻りながら、タミは静かに呟いた。


 言わずには、いられなかったような一言。


 何度か、早紀を見失ったせいだろう。


 目の前にいると、分かっているのに見えなくなるのは、やはり驚くべきことなのだ。


「鎧になっても、あの力は…健在ですか?」


 タミの目的には、どうも鎧そのものも含まれている気がする。


 真理は、斜め後ろのタミを、わずかに振り返る。


 肯定のつもりだった。


「対魔族に、あれほど効く魔力があるなんて」


 言葉には、口惜しさにも似た響き。


 早紀の能力を意識した魔族は、最初はみなそうなってしまうのか。


 自分の中の微かな優越感に真理は気付き、しかし、戸惑いもした。


 あれは、真理自身の力ではない。


 真理の意思で、オンオフできないところも不便だった。


 早紀の性格にも、魔女としては難がある。


 だから。


 出て行けばよかったのだ。


 昨日の早紀を、思い出してしまった。


 初めて、真理に逆らった彼女を。


 衝撃はあった。


 すぐには、自分で気づけないほど、長く長く、それは真理の中で尾を引く。


 戦闘中、反射的に自分を守ろうと、真理に逆らってステルスモードに入ったことと、ワケが違ったのだ。


 早紀は自分の意思で、はっきりと彼の言葉を拒否したのだ。


 ふらふらと。


 生きるためだけに、ただ、流される女だと思っていた。


 鎧になる前も、鎧になった後も。


 とにかく、いつも環境に適応しようとしていたのだ。


 しかし、昨日の早紀は違った。


 リボンを巻き、泣いた目で──そして、拒否した。


 あの早紀が、反抗してまで隠したがる言葉が、気にならないと言えば嘘になる。


 誰と。


「……部屋は、こちらでは?」


 足を止めたタミに声をかけられた時。


 真理は、自室の扉の前を、二歩ほど通り過ぎていたのだった。



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