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極東4th  作者: 霧島まるは
33/162

零子の目

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 零子は──早紀を見つけられるようになったのか。


 学校で、気づけば彼女が、自分を見ている気がするのだ。


 他の人にも気づかれているのかと思ったが、彼女以外は相変わらずで。


 クラスでは、いつも通りの空気女だった。


 登校中や、廊下、昼休み、帰宅中。


 ほんのわずかな隙間隙間で、確実に早紀は見られていたのだ。


「私に…何かご用ですか?」


 ある昼休みに、思い切って彼女に聞いてみた。


「いいえ」


 すると、零子は首を横に振るではないか。


 な、ないんだ。


 即答加減に、早紀は困ってしまった。


 それなら見るな、とは言えない性格なのだ。


 うーん、それじゃ。


「私のこと…いつもちゃんと見えてます?」


 質問を変えてみた。


 早紀は、あまり上手に能力を使いこなせている気はしない。


 しかし、零子以外の様子を見る限りは、普段から挨拶のように発動しているらしい。


 その事実を、周囲の人間の目で確認してみようとしたのだが。


 瞬間的に、零子の表情が険しくなった気がした。


 返答はない。


 長い、沈黙。


 え、えっと。


 いけないことを聞いてしまったのかと、早紀が居心地悪く、しかし立ち去るきっかけを掴めないでいると。


 零子は──ゆっくりゆっくりと、息を吐いた。


「あなたは…」


 何かを言いかける、赤い唇。


 予鈴が鳴り始める。


 午後の授業まで、もうすぐだ。


 その音の中。


 零子は、長いまつ毛を伏せた。


「あなたは…変です」


 その美しい顔とは裏腹に。


 言葉は、静かに早紀に突き刺さったのだった。



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