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極東4th  作者: 霧島まるは
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当主のつとめ

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 そうか。


 ようやく静かになった環境で授業を受けながら、真理はさっきまでの喧騒について考えていた。


 そうか、子孫を残す相手を、探さなければならないか、と。


 とにかく、鎧を受け継ぐことしか考えていなかったため、これからずっと長い未来のことまでは、意識が向いていなかったのだ。


 真理の父親は、彼が小さい時に戦いで死んだ。


 もしいま自分が死ねば、鎧は傍系の誰かが、養子に入るという形で受け継ぐことになるだろう。


 そんなに簡単に死ぬ気はなかったが、子孫を残すのが義務であることも理解していた。


 本来こういうことは、家柄を考えて、父なり母なりが手配するのだろうが、真理に親はいないし、血の近い叔父叔母も死んだ。


 既に、真理は鎧を相続してしまい、一族の主となっているため、どんな内容であっても、親戚が彼に強く出ることはない。


 となると。


 気の利く親戚が、よい魔女を勧めに来るのを待つか、自分で探すかしかない、というワケだ。


 それは──とても、面倒くさそうだった。


 早紀のような魔女が特別珍しいだけで、普通の魔女と言えば、気が強くプライドが高い。


 ハイクラスの魔女となれば、尚更だ。


 美、企み、背徳、嘘。


 どれも大好物だ。


 そんな彼女らの志向のひとつが、強い魔族の子を産む、というもので。


 階級が上の、ではないところが、恐ろしいところではあるが。


 そう考えると、真理の希望もおのずと決まってくる。


 力の強い魔女、だ。


 結婚なのだから、愛だの恋だのふざけた言葉は必要がない。


 お互い、それを合意していれば、いいだけのことだ。


 優秀な魔女か。


 だがそれは、探すハードルを上げることでもあった。


 魔女が特別な階級について、力を振るう姿を公に見せることは余りない。


 勝手気ままに生き、好きな時に自分のために魔力を使う。


 だから、魔女の能力を知るのは、彼女自身と近しいものくらいなのだ。


 学校では特に、女同士の駆け引きなどもあるようで、あからさまに見せ合う真似もしない。


 結局──よい案など、何も浮かばなかった。



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