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極東4th  作者: 霧島まるは
27/162

面倒な魔女

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「おかあ…さん…」


 きゅうっと。


 赤ん坊のような力が、真理の手を握り返してきた。


 お母さん?


 不本意な呼ばれ方だ。


 まだ、完全に戻っていない意識から漏れた、うわごとレベルの言葉。


 真理は、ガラス玉のような、開いたままの目を見た後。


 枕もとの写真を見た。


 早紀によく似た女性が、笑っている。


 早紀の母親が、カシュメルの血を引く魔女のはず。


 親子二代で、魔女らしくない魔女だったようだ。


 握られた手は、乳を吸う赤子のように、真理から魔力を吸い上げていく。


 ふぅ。


 魔力を失う倦怠感を覚えながら、真理は小さく息を吐いた。


 鎧を得てからというもの、早紀には本当に振り回される。


 予想もしていなかった力を持っているかと思えば、たったひとつの傷で魔力を枯渇させる。


 鎧としてリンクしていればうるさいし、痛みを怖がって、彼の許可なくステルスに逃げる。


 おかげで、真理個人としては、まったくの戦果を上げられていなかった。


 ただ──数だけならば。


 昨日、彼が墜とした数は2。


 向こうのトップが、どうやら出撃してなかったので、2/3という立派な数字になる。


 この数字は、おそらくイデルグによって報告されているだろう。


 カシュメル家の初陣にしては、十分すぎる数字ではあった。


 本当に、不本意だが。


 多くの鎧を受け継ぐ魔族が、憑き魔女を持たない理由も、早紀を見ているとよく分かる。


 非常に──面倒だ。


 思えば。


 トゥーイの連れていた、零子と呼ばれる憑き魔女も、ガラス玉のような目をしていた。


 いまの早紀よりは、マシな目だが。


 彼女もまた、傷により魔力を失いかけているのだろうか。


 不本意なまま、真理が思考を巡らせていると。


「あ…」


 小さな、女の声。


 早紀のガラス玉に──光が入っていた。



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