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極東4th  作者: 霧島まるは
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激痛

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 早紀の身体でもあるはずなのに、信じられない速さと力で、真理が自分を操る。


 早送りの、アクション映画を見ているような光景だ。


 だが、これは映画ではなかった。


 早紀は、それを身を持って思い知ることとなる。


 敵の刃の切っ先を、皮一枚よけきれなかった瞬間。


 ……!!


 声にもならない悲鳴を、あげさせられたのだ。


 い、痛い――なんてものじゃなかった。


 掠めた胸の辺りに、引き裂かれたような熱と激痛が走ったのだ。


 こらえきれずのけぞった動きは、鎧全体を連動させた。


『うご…くなっ!』


 その身体の主導権を、即座に真理に奪い返される。


『痛い! 痛い!!』


 小さなケガ以外、経験のない早紀には、こらえがたい痛みだった。


『うご…!』 


 再度。


 真理は、彼女を制そうとしたのだろう。


 だが、それより速いものがあった。


 自分に振り下ろされる――刃。


 痛い!


 それは、予測される激痛への予告的反射。


 現実の痛みを知ってしまった早紀に、その恐怖は我慢できなかった。


 が。


「助太刀にきたのかね…それとも、足を引っ張りにきたのかね」


 目の前に散ったのは――黒い羽。


 敵の一撃は、ベルガーの細い剣がいなしていたのだ。


 その瞬間。


 恥と怒りが、早紀を覆った。


 自分の中に、あったものではない。


 真理から、放出されたものだ。


「大体…」


 ベルガーは打ち合いながらも静かな声で続ける。


「有用な力を持っているというのに、それを使役しないのは…戦いを愚弄しているのか?」


 真理の心を、なお乱れさせる──とどめの一言だった。



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