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極東4th  作者: 霧島まるは
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 真理は――己の下僕を見つめていた。


 彼が指でなぞった契約印から、黒く重い煙が、意思を持って吹き出す。


 それが、早紀の身体を全て包み込むのだ。


 ガシャン!


 煙を払うように、硬い腕が現れた。


 右腕から左腕、そして両の足。


 黒い煙が消えてゆき。


 そして、黒い鎧が現れた。


 胸と兜は、一番最後。


 これで。


 真理の鎧は完成だ。


 あの、出来損ないの魔女の、影も形もない。


「おおっ!」


 修平が、駆け寄ってくる。


 鎧を、より近くで見ようとするように。


 だが、真理はサービスをしてやる気はなかった。


 いやなことは、さっさと済ませたかったのだ。


「窓を開けてもらえますか?」


 修平は、彼より年上で後見人ではあるが、それはあくまで表面上だけ。


 だから、普通に彼をも使う。


「あ、ああ」


 名残惜しそうに、修平が鎧から離れていく中。


 真理は、目の前でつっ立つ鎧に向かって、足を踏み出した。


 初めての。


 鎧にぶつかることも気にせず、歩を進める。


 いや、ぶつかることなどありえない。


 これは、俺の鎧だ。


 触れた部分から。


 真理は、黒い金属に飲み込まれていった。



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