②
まあ、言質は取ったし。
さっさと目の前にある書類を片付けるか。
サラサラサラ。
………………サラサラサラ………………。
ペンッ。ペンッ。ペンッ。
片っ端から積みあがる書類にサインと承認印を押していく。
ジークフリートがチェックしてるから殆どざっと流し読みして承認印を押す
だけだし、楽だ。
サラサラサラ。
………………サラサラサラ………………。
ペンッ。ペンッ。ペンッ。
……ん、これは再検討っと。
サラサラサラ。
………………サラサラサラ………………。
ペンッ。ペンッ。ペンッ。
あ。
これは却下でしょう。
誰だ、どさくさに紛れて予算を倍とろうとしたのは。
……後で宰相に回そう。
サラサラサラ。
………………サラサラサラ………………。
ペンッ。ペンッ。ペンッ。
……あぁぁ。
「ようやく最後の一枚だぁああ」
最後の一枚にも承認印を押し、確認済みBOXに入れる。
んーー。
同じ姿勢だったから体が固まってる。
ぐりぐりぐり……。
手首と腕と首を解す。
若いから体力はあるけど、さすがに四時間(この世界で二刻)も同じことや
ると疲れる。
「ジーク、終わったよ~」
ジークフリートはちらっとこっちを見るとまた書類をチェックし始めた。
私がやった分を再確認するため、時間と手間が2倍かかるけど、おかげでミ
スは大幅に減った。
「後数件のみですので、先にお部屋へ戻られてください。……護衛は扉の前
に居りますから、必ず一緒に」
「わかった~」
ふんふんふん~♪
午後からは3日間の休日だもんねー。
このために今週の仕事をペース上げてさっさと終わらせたのだ。
扉を開けて近衛隊衛士に部屋まで付き添ってもらう。
部屋のドアを開けてもらい、異常がないことを衛士が確認してから部屋の外
にでてもらう。
一応、賊がいると危険だから。
「異常ありません」
「ありがと。部屋の前で待ってて?ジークが来たら入れてあげてね」
「畏まりました、ハロルド殿下」
ふぅ。
衛士を外に出し、ソファーに座る。
疲れたぁ。
ようやくお仕事終わりです。
そうしてようやく殿下の名前が出ましたね。
(一応番外編のほうでシリル陛下が喋ってますけど、本編ではこれが初です)