⑥
「我が屋敷で大事に、大事に御育てしたいッッ!!!」
「……はぁ……」
「あぁ、もう言葉などなくてもいい。このまま……」
「……閣下……御子息に笑われますよ?」
(いや、嘆かれるか。此れが一国の宰相だとは……)
ぁ、子供いるんだ。
意外と子煩悩そうだ、この人……。
……うん。
この人の子供って、似てたらきっと天使みたいに可愛いに違いない。
……見てみたい。
触って。抱っこした……(げふんげふん)
「……まぁ。……それにしても殿下は大分回復なさったようだな?」
「えぇ……。ですがせめて御自分で立つことが出来るようになるまではこの
離宮で御過し頂かねば」
へぇ。
ここ、離宮なんだ?
……というか、何での状態なのかぜんぜん分からないんだけれどもね。
「……そうだな。……賊は全て処分したが……根本的な輩をどうにかせねば
この離宮から出ていただく訳にも行かぬからな」
賊?
そんな物騒な奴がいるんだ?
う~わ~。
で、賊(誰か分からないけど)に襲われてこの状態なんだ?
そいつ、見つけたらシバく。
賊のせいであんな不味い薬を飲む羽目に……。
……まぁ、すでに処分したっていってるし、無理だろうけど。
いや。
でも。
諸悪の根源は絶対シバく。
ふふふふふ……。
やられたらやり返せ。
眼には眼を、歯には歯を……。
不味い薬には不味い薬を!
昔の人はいい言葉を残してるなぁ。
「……陛下は?」
あ。
リュシアスさんの顔が、曇った……というか、一気に疲れ果ててる。
さっきまで薔薇色の頬をした乙女状態だったのに……。
苦虫を噛み潰して飲み込んだのか?
茶碗いっぱい。
……ってぐらいに。
うん、表情がころころ変わって面白い。
……宰相としてどうなのかは置いておいて。
「……お前……判っていてそれを聞くか?……相変わらずだ。
先刻も抜け出そうとなさるから鎖で縛り付けて執務室においてきた。
一応大司教殿が見張ってくれているから大丈夫だとは思うが」
……陛下ってことは王だよね?
王ってことはこの国のトップな訳で。
……そんなんでいいの?
この国のトップ。
そして。
王様って普通縛り付けて仕事されるようなものなのか?
本当に大丈夫?
この国。
ちょっと、はげしく、先行きが不安になった瞬間でした。
――― Wikipediaより抜粋 ―――
ハンムラビ法典
ハンムラビ法典は完全なかたちで残る世界で2番目に古い法典である。
「目には目を、歯には歯を」との記述は、ハンムラビ法典196・197条にあるとされる。ハンムラビ法典の趣旨は犯罪に対して厳罰を加えることを主目的にしてはいない。「目には目を」が成立するのはあくまで対等な身分同士の者だけである。
現代では、「やられたらやりかえせ」の意味で使われたり、復讐を認める野蛮な規定の典型と解されたりすることが一般的であるが、「倍返しのような過剰な報復を禁じ、同等の懲罰にとどめて報復合戦の拡大を防ぐ」すなわち、あらかじめ犯罪に対応する刑罰の限界を定めること(罪刑法定主義)がこの条文の本来の趣旨であり、刑法学においても近代刑法への歴史的に重要な規定とされている。
《例》もし強盗が捕えられなかったなら、強盗にあった人は、無くなった物
すべて神前で明らかにしなければならない。そして強盗が行なわれた
その地あるいは領域が属する市とその市長は、彼の無くなったものは
彼に償わなければならない。
素敵な法律ですが主人公は「やられたらやりかえせ」のタイプのようです。