⑦
「そろそろ休む?」
タイラン公国の1/4程度を過ぎた頃。
騎竜のスピードがやや落ち始めた。
そろそろ野営の準備が必要みたいだ。
「はい。ちょうど良い頃合かと」
「ヴァル、スピード落として」
-承知した-。
ルーヴルで買った騎竜、ヴァルは「勇敢」という意味がある。
購入した騎竜には名前を贈ると契約紋が現れ、契約者との間で意思疎
通が出来るらしく。ヴァルが始めて喋ったときは驚きました。
ただし、相性が悪いと喋るどころか振り落とされます。
ジークの「閃光」、
カートの「一角獣」、
リーナが「赤い花」
皆可愛いけど、ヴァルが一番可愛い♪
-……嬉しいが、褒めすぎだ-
照れているらしい。
サクサクとご飯の準備をする(やっているのはリーナとカートが殆ど
だけど)。
枯れ木を適当に置き、封紙を外した小型の炎術魔鉱石を中心に置く。
『火炎』
小さな、でも消えない炎が暮れてきた辺りを包んだ。
リーナが素早く乾物と水を鍋に入れ、煮込み始めた。
途中でカートが取ってきた(毟ったとも言う)草(生食可能なもの)も
一緒に入っている。ビタミンは大事ですよ。
乾酪とパン、肉と野菜のスープ&葡萄酒。
出来立ては美味しいです。
騎竜はもともとは雑食だけど竜果が好物で
移動時は乾燥したものを5~6個/回、朝夕食べるそうです。
騎馬と比べて省エネらしい。
夕食後。
簡単に行程の確認をして。
ジークが見張りをしてくれるらしいので皆で丸くなって寝ました。
次の日、ヴァルに顔を舐められて目が覚めたのは内緒です。