③
「だから。もとよりあの鉱山は我が国のものだといっておろう」
……とたぬき。
……いぇ、中肉中背、頭のラインがちょぉおっとやばくなり掛けの特使が言えば。
「建国時より我が国の領土です。言い掛かりは止めていただきたい!」
……ときつね。
……いぇ、長身細身、目が糸のように細いというか眼は開いてますか?という感じ
の特使が応戦する。
喧々諤々。
「あの魔鉱石鉱山には○○○金貨投資して―――――……」
「あの鉱山から算出される△△△はすでに―――――……」
うん。
話し合いに入ってからすでに二刻。
ずっと平行線です。
お互いの利権が絡み合ってるから仕方ないけど。
おんなじ話の繰り返し。
正直、飽きました。
シリルは欠伸をして宰相にドつかれています。
「はっ。話になりませんな」
「それは此方の台詞だ!第一ですな……―――――……」
「……あのですね?ちょっといいですか?」
ぎろ。
2人から同時に睨まれました。
「ガーラクは魔鉱石が欲しいんですよね?」
ガーラク特使に確認する。
資源に乏しいらしいし?
流通というより自国のエネルギー資源にしたいらしい。
「で、アルメィダは魔鉱石を売りたいんですよね?」
アルメィダ特使にも確認する。
こっちは目ぼしい流通材料目的らしい。
両特使が頷いたのを確認して提案する。
「まず。シャスタスルーシュ皇国に採掘権をもらいます」
それは、とか。
ありえない、とか。
詐欺だとか言う両特使の声はおいておいて。
「次に。アルメィダに、鉱山から出た鉱石の通商権を認めます」
アルメィダ特使が勝ち誇った顔です。
ガーラク特使が蒼褪めています。
あんまりだ。とぶつぶつもれていますよ。
「最後にガーラクは優先的に取引できるようにアルメィダはすること」
アルメィダ特使が微妙な表情です。
ガーラク特使はちょっと安心した様子。
「あの鉱山は特別区として三国統治にする。……これでどうでしょう?」
もう疲れたからさっさと帰りたい。
……という思いが伝わったのか、概ね提案が通りました。
細々とした取り決めは各国特使及び宰相に任せてお終いです。
………………疲れた。