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②
コンコンコン。
ノックしてはいる。
「どういうこと?今日はゆっくりしていいって言ったじゃん、皇帝陛下!」
「あ。おはよう、ハル」
ギロ。
思いっきり無視だ。
ケーキの恨み思い知れ。
自分の席で泣いているシリルを放っておいて手近な席に座る。
ちなみに。
レナードは私の後ろに控えている。
「私がお願いしたのです、殿下」
あ。
いたんだね、リュシアス。
いつもなら流したままの髪を今日はゆるーく束ねている。
今日も無駄にかっこいいね?
さすがお婿さんにしたい人候補ナンバーワン。
……妻帯者だけど。
「おねがいぃいい?」
「はい」
ちぇ。
リュシアスなら仕方ないか。
「どうして?」
「有利に進めようかと思いまして」
ふぅん?
いいけどね?
席についてしばらくして。
ガーラク皇国とアルメィダ王国の特使がきたと知らせが入った。
さて。
始めますか。