③
「……少し御痩せになられたか……?後ほど食事をお持ちしましょう」
食べたくない。
……というか、もう、考えたくない。
……ぇえ、もちろん。
考えることを放棄している間に、体を拭かれ終わりましたとも。
うっうっう……。
二度とされたくない。
私の純情を返せ~。
「あまり食べられぬからいつまでも体力が付かないのですよ?」
細々と男が辺りを整え終わる頃。
扉を叩く音と、御食事をお持ちしましたという声。
男が受け取りに行くとはじめて男以外の(当たり前だけど)人物が見えた。
一見少女のようにも見える小柄な女性。
「……と。ジークフリート様、宰相閣下が後ほど……たいと……。」
ぼそぼそと交わされる会話。
……やっぱり、なんていっているか分かる。
というか、どういう状況なんだ、一体。
「わかった。後ほどと……」
男……ジークフリート(……というらしい)がそういうとトレイを受け取った。
同時に僅かな外との繋がりが閉じられる。
……あ。
もう少し……。
外を見たかったのに。
「さ、食事に致しましょう。我が君」
……いらない。
食欲ないし。
……と拒否したのに。
ジークフリートは懇切丁寧に、手ずからご飯を食べさせてくれました。
……拒否権と言うものはどこにいった?
そしてお腹いっぱいです。