⑧
「騎士の掟を剣の下に定め、
汝の僕をして常に善を行い、
正義と法の元に、
(中略)
邪を懲らしめ、
民草を庇い守ること、
無垢たる者、か弱き者を守り、
人を傷つける剣を振るわぬ事を誓う」
な~が~い~。
誰が考えたんだ、こんな長い宣誓文。
「我は我が騎士たる者に名乗ることを許す」
「「誓約は為された。この誓約の違えられぬ事を願う」」
後は、えーと。
剣を抜いて。
騎士が、剣の刃に唇を当てたら。
剣を鞘に戻して。
剣を騎士に渡す。
……あああ。
疲れました。
「お疲れ様、レン」
漸く宣誓と護衛武官の任命を終わらせ、緊張した表情の乳兄弟をみる。
緊張しているのか、やや蒼褪めた表情に父親譲りの白銀の髪が映える。
「レン?生きてる?」
「……」
「おーい」
「……」
「レン?」
「……ハロルド殿下。どうか、レナードとお呼び下さい」
「レンはレンでしょ。ねぇ?」
ぷるぷるぷるぷる。
あ、震え始めた。
面白い。
なまじ色白いからうさぎみたいなんだよね。
始めて会った時は天使かと思ったけど。
「ハ~ロ~ル~ド!お前、宣誓時何回間違えたんだ!」
え?
「ひ~ふ~み~よ~…(指を折る)…ぅん、6回かな?」
「どこの世界に大事な宣誓文を間違える主君がいるんだっ!!!」
「ここにいるけど?」
……。
倒れこんだ。
大丈夫か?レナードってば。