⑥
口直しにもらった飴を舐めながら。
書類と格闘中です。
何で特許申請書類はこんなに長ったらしいんでしょうね?
「まぁ。ハロルド様、お行儀が悪いですわ」
リーナが嗜めてくる。
……いいんです。
ジークフリートが居ぬ間にダラケルんです。
熱いし。
「だって、熱いんだもーん」
ぱたぱたぱた。
書類を扇いで風を送る。
上着はとうの昔に脱ぎ捨てました。
今の格好は、火の月用のシャツの上から2番目まで開け、ズボンから引き
ずり出しています。
汗が出るので適当な長さに切った布で頭を纏めています。
長髪は夏季だと鬱陶しいです。
……皆が切らせてくれないのが悪いんだぃ。
クーラー。
ううん。
扇風機でいい。
誰か開発して欲しいよぉ。
「冷たいお茶が飲みたーい」
「駄目です。氷室の氷は貴重なんですから」
「前に作ったのあるでしょ?小型の、製氷機」
「皇帝陛下が持っていってしまわれましたわ。今の季節は
苦手だそうですよ」
うぅ……
わんこめ~。
「ハロルド様もそろそろ乱れを御直し下さいませ。今からそのような格好を
なさっては火の月でどうなさるのです」
それは後から考える。
今はとにかく暑いんだよぅ。