⑤
「どのような真術を使われるのですかな?」
「ん?」
「……」
あ。
忘れてた。
お姫様抱っこは精神に悪すぎる。
「……えっと」
「はい」
「今まではカートにお願いしてたんだけど。自分でも使える事が分ったから
さ?どうせなら病害虫に強くて、痩せた土地でも育って、収穫時期早く(2
期作)なるようにしようかな~と思って」
これは前から思っていたことだ。
なにしろ天候不順になると一気に回りの国が援助を求めてくるのだ。
うちだって万能じゃない。
「何回か育てて、能力が定着したら産務省にお願いしようかな~と。あとは
内務省のいくつかと共同で。」
ちなみに。
各省庁は出来てから1年と半年ぐらい。
出来立てほやほや、ぴちぴち、鮮度抜群ですよ。
今まであったシステムでは汚職ばかりなので。
私が殺されかかったこともあって、それまでのシステムを大改革しました。
貴族ばかり優遇されていたシステムはいりません。
発案者は私で、実行者は宰相です。
それはもう。
楽しそうに、病巣を根絶やしにしてくれていました。
ちょうど膿が出きった辺りなのでちょうど良かったそうです。
「ふむ」
「……繁殖の方には手は加えられないのですか?」
それまで黙っていたジークが参加してきた。
興味があるらしい。
「それなんだけどさ?今まであった種類以上に繁殖すると怖いかな~と思う
んだ。逆に能力が定着したら徐々に掛け合わせて穏やか~に変化させたいん
だよね」
急激な変化は歪みを生みそうだから。
ん?
周りがやけに静かです。
カートが何かウルウルしています。
「その方がよろしいでしょうなぁ。……旱魃の年に困る民が減るのは私達の
悲願でもありますからな」
「あとは薬の品質向上かな?今までのは効き目怪しいのにやたら高価だし、
飲みにくいし、量多いし?」
「……はぁ」
「そっちは衛生省と相談するつもりだけど」
「では宰相閣下に相談しておきます」
「あ。うん。よろしくね?」
一段落着きそうです。
やれやれ。
……とか思っていたら。
リーナが楽しそうに何かもってきましたよ。
「ああ。リーナありがとう」
うぉぅ。
ジークが礼を言っている。
珍しい。
リーナから受け取ったのは大き目の器?
中身は見えない。
なんだろう?
寒気ガシマスヨ?
にこやかなジークフリートが何か恐ろしいデス。
「我が君にはこれを飲んでいただきたく」
…………毒の方がまだましかという薬を飲みました。
罰ゲームですか?
栄養剤=恐ろしく苦いです。
この国の薬は主に液状です。
ごく稀に携帯用に丸薬があります。