③
小手はリーナが工房へ届けてくれたので。
退屈です。
……カートにお願いした奴の様子見にいこうかな。
「フィー」
「……」
「ジーク」
「……」
顔を上げて。
でも、返事はなし。
「……ジークフリート」
「……はい」
不承不承、といった返事が返る。
そんなに嫌か、フィーディー。
「カートのところ行ってきていい?」
「お仕事は?」
「終わったから言ってるの」
「……一緒に伺いますのでしばしお待ち下さい」
「いいけど。早くしないとおいてくからね」
「……御意」
チェックの終わった書類をBOXに放り込む。
「いこ」
「あの小手、どうなさるのですか?」
気になっていたらしい。
……ふむ。
「ん?あれ?見本だし、ジークしか使えないからな~。いらないなら壊すけど?」
「壊すなど……」
「欲しい?」
「はい」
「どうしても?」
くすくす。
「ぜひ」
しょうがないなぁ。
「じゃあ、あげるよ」
「ありがとうございます」
「でも、戻ってきてからね」
「はい」
そんなことを言っていたら着きました。
中庭……というか畑と果樹園?に到着です。
「豆、豆、まめ~。可愛いまめはど~こ~か~な~」
「豆など我が国にもあるでしょうに」
「あれは種類が違うのっ。栄養価高いんだからね?」
「……(いつも思うのだが殿下の知識は一体どこから来るのだ)」
「カート~」
うん。
いた。
中庭は実験的に植えた植物が大量にあります。
カートは皇宮に呼び出されなければ、主人公居室と中庭のどちらかにいます。
離宮に部屋を持っているのは主であるハルの他はジーク、カート、リーナのみです。